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第17回 菊池遥香さん(女優・モデル兼薬剤師)
今月のPickUpファーマシスト
さまざまに活動、活躍されている薬剤師&薬学生の方のインタビューをたっぷりお届けします!
菊池遥香さん(女優・モデル兼薬剤師)
東京都出身。
東京薬科大学卒業後、CRAとして約2年間勤務。
その後はモデルや女優などの芸能活動と、在宅に特化した薬局薬剤師の二足のわらじで活動中。
人生のどん底で見つけた、”本当にやりたいこと”
―芸能と薬剤師の仕事を両立させている菊池さん。現在の働き方になるまでの経緯について教えてください。
芸能の仕事をするようになったのは薬剤師になってからですね。本格的に始めたのは、CRAを辞めた1年半ほど前からです。社会人になって半年後くらいから少しずつ活動してはいましたが、当時すごく忙しいプロジェクトに入っていたので芸能活動との両立は難しいと感じていました。
ちょうどそのプロジェクトからサインアウトすることになったタイミングで「辞めるなら今だ!」と思い切ってCRAを辞めました。そして現在、パートで薬剤師をしつつ芸能活動をしています。芸能の仕事は直前に入ることが多いのですが、理解のある職場環境のため芸能活動を優先させていただけています。とても感謝しています。
―もともと薬剤師を目指すきっかけは何だったのでしょうか?
本当は高校生くらいから芸能活動をやりたかったのですが「やるなら手に職をつけてから」という母からの条件があったこと、医療家系ということもあり医療が身近にあったことが理由です。手に職をつけさえすればやりたいことを許してもらえるということが、当時は勉強のモチベーションにもなりましたね。
―社会人になられてから芸能活動を始められたとのことですが、年齢面で焦ることはありませんでしたか?
今思うと、せめて大学と同時並行で活動しておけば良かったと少し後悔はあるのですが、いざ大学に入学したら、芸能活動をしたかったという夢を忘れてしまうくらい学校生活がめちゃくちゃ楽しかったんです。学校生活でやりたいことは全部やって、すごく忙しくしていました。
―薬科大や薬学部の方は勉強に忙しくて課外活動が難しそうなイメージですが……
確かにそう言われることが多いのですが、私は学園祭実行委員、サークル活動、アルバイト全部やっていました。周りを見ていても活動的な人こそ時間の使い方が上手なので、国試も受かる人が多い気がします。なので、私はサークルやアルバイトは断然推奨派です! いろんな人と接することでコミュニケーション能力や人間力を鍛えられますし、社会に出たときの必要なスキルとして、学生さんにはご自身のカリキュラムに組み込んでしまうことをおすすめします。
―そんな菊池さんが芸能活動を目指しなおしたきっかけになったという、人生最大のどん底経験についてもお聞かせいただけますか?
大学生当時に付き合っていた彼氏と「絶対に結婚する!」「この人のためならなんでもする!」という盲目モードになっていました。今思うと……浮気が趣味のDV&ヒモというやばい人だったんですけどね(苦笑)。でも当時の私は、もはや自分のやりたいことよりもその人と将来ずっと一緒にいることしか考えていなくて、自分の本当にやりたいことはどこかに追いやってしまっていました。
そんな彼とは社会人になってお互いに環境が変わり、再三浮気されたタイミングで別れました。そのときに、何よりも優先してきた人と別れたことで「これから何をしたらいいのかわからない」状態になってしまったんです。浮気されたり傷つけられたり別れたこと自体ももちろんそうでしたが、「何をしたらいいのかわからない」という状態が一番のどん底でした。当時の自分の写真を見ると顔つきも全然違いますし、親に当たることしかできなくて、とても荒れていましたね……。
でも、そのときが自分を見つめ直す大きなタイミングとなりました。「そういえば、私は芸能活動をやりたかったんだ」と改めて気付き、そこで初めて芸能事務所に所属したのが、芸能活動を始めたきっかけです。
―芸能の仕事、薬剤師の仕事、それぞれの仕事マインドに共通していることはありますか?
薬剤師なら患者さん、芸能活動ならファンの方、見てくださっている方など、私のことを知ってくださっている方や関わってくださる方々の人生にプラスを与えられる存在でありたいという想いで従事しています。
―いろんな経験をされてきて、今ご自身が思う自分の強みはどんなところですか?
いつもオーディションなどの自己紹介で言っていることは「3分あれば誰とでも仲良くなれます」です。それくらい人と話すことが好きなので、患者さんと話すことに苦労したことはないですね。もちろん、患者さんのキャラクターに合わせてです。話したくなさそうな患者さんにあれこれ話しませんが(笑)。でも、意外と積極的には喋らないけど、聴いたら答えてくれる患者さんは多いです。特に在宅では察する力を含めたコミュニケーション能力は磨かれる気がします。
「初めて会ったときから菊池さんの笑顔が素敵だと思っていたんだよ」と言ってくださる患者さんや、毎週の訪問を楽しみにしてくださっている患者さんがいらっしゃることがとても嬉しいです。また余談ですが、ドッグフードと知らずに美味しそうに召し上がっている患者さんがいて衝撃だったのですが、笑いながらそれとなく指摘したこともありましたね(笑)
―菊池さんのお人柄的に、在宅はかなり向いていらっしゃいそうですよね!
そうですね。お薬をただ手渡しするだけならそれほど時間はかかりませんが、お薬カレンダーのセットや残薬整理、血圧測定などをすると10分~15分くらいかかるので、患者さんとコミュニケーションを取る時間も増えます。在宅訪問薬剤師は患者さんの生活に踏み込んでいくわけなので、患者さん自身の深い部分に踏み込んだお話ができますし、いろんなことを話してくださる方が多いですね。一日に数十件回る日もあって、大変ですがやりがいも感じています。
「なぜ」を掘り下げて、一度きりの人生を大切に!
―今後の目標について教えてください。
大きく2つあって、1つはモデルや女優としてもっと活躍すること。もう一つは薬剤師タレントになることです。
SNSで発信しているといろんな方から意見を聞く機会が増えたのですが……世間一般の薬剤師のイメージが本当に良くないのと、薬剤師がどんな仕事をしているか知らない方が多いことを実感しています。皆さん、病院か調剤薬局かDSにいる薬剤師で”薬を渡す人”という、目に見えている範囲のイメージが強いようで。特に調剤薬局がそうで「医師の処方どおりに薬を出すだけでしょ?」というイメージを持っている方が多いです。
先日現場で初めてお会いした方から、薬剤師のことを「今後AI化で真っ先に無くなるって言われている職業ね」と、ばっさり言われてしまってとてもショックでした。私が薬剤師タレントとして活動していく中で薬剤師本来の仕事、普段どんな仕事をしているのかをしっかり伝えていきたいですし、もっと薬剤師を身近に感じてほしいなと思っています。
ただ、SNSでは真面目に薬のことを発信するとかしこまり過ぎてしまうので、私はもっと身近で親しみやすい情報を発信していけたらいいなと思っています。
―最後に読者へメッセージをお願いします。
薬学部生は就職先を選ぶときに病院、調剤薬局、DSもしくはMRやCRAあたりを考える方が多いと思いますが、必ずしもそれらの仕事に就かなければいけない決まりはありません。「今自分は何をしたいのか」「なぜ自分は薬剤師を目指しているのか」……といった「なぜ」を一度よく考えてから就活をすることをお勧めします。人生は一度きりなので、自分がやりたいと思うことをできるのが一番ですよね。
とはいえ、薬剤師免許を持っていて損することはありません。「薬剤師免許があるから……!」という安心感はかなり大きいです。是非、皆さんも後悔の無い選択をしてくださいね!
★菊池遥香さん出演 セミナー開催情報★
薬学部を卒業してからの働き方
〜なんとなく薬剤師として働くと思っていませんか?〜
2023年4月16日(日) 13時~@大阪(梅田駅近郊)
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