第11回 林原 克典さん(合同会社双和商店(ばら薬局) 代表)
卒後は製薬会社に就職し品質管理、医薬品製造管理業務を担当。
約6年間勤務したのち、調剤薬局に転職。
広島県、兵庫県にある調剤薬局を経て、広島県にある漢方相談併設の調剤薬局で約15年間勤務。
2022年12月 事業譲渡にてばら薬局を開局
POINT
・処方せんが多ければ良いというわけではない。薬局運営で叶えたいことを圧迫しない枚数であることが重要。
・ うまくいかないことがあっても、それも含めて自分の薬局ということにやりがいを感じる。
―独立を志したきっかけについて教えてください。
かねてから独立したいと考えていましたが、なかなか条件に合う案件がありませんでした。勤務薬剤師として定年を考える年になって、独立するなら年齢的にも最後のチャンスだと思っていた矢先、偶然広島の案件を見つけたので取り扱いしているユニヴへ問い合わせてみました。
―案件を選ぶ際の基準は何かありましたか?
処方せん応需枚数があまり多くない案件を希望していました。通常は多い方が良いと思いますが、漢方相談業務と両立したかったのであまり多くても困ると思い、希望に近い枚数の案件に惹かれました。
また、今回の案件では経営的に厳しいという状況を踏まえ、自分がどうやって薬局の経営を立て直すかというところを考え、漢方相談業務を取り入れることにより、保険調剤業務以外の収入を見込むことができれば経営が成り立つのではないかと思って選びました。
―独立に対する不安はありましたか?
検討していた案件が経営的に厳しかったということや門前のドクターが高齢なことなど、不安はありました。ですが、譲受前にドクターとの面会の機会があり、ドクター自身の考えやこの先の展望を確認することができたので少しずつ不安は払拭されていきました。
―独立開局するまでの期間はどれくらいでしたか?
2022年7月末までにほぼ話はまとまっていましたが、当時の職場での退職時期の調整が難しかったため、12月開局で調整していただきました。
売り主の代表もすごく良い方で、本当に良くしていただきました。実際に開局前に研修として薬局に入らせてもらったり、開局して1週間程度は事務スタッフの方を派遣してくださったりと配慮していただいたので、そこで充分に引き継ぎを行うことができました。開局の10日前ぐらいまで当時の職場に出勤していたので、業務の引き継ぎ以外にも薬局の許可申請や各種届出などでバタバタでしたが、なんとか開局することができました。
―漢方相談の取り組みについて教えてください。
現在は以前からの漢方患者さんの一部の方が遠方から来てくれています。当薬局は漢方相談薬局としてまだ認知されていませんので、すぐに相談患者さんを増やすことは難しいと感じています。遠方からでも電話やメール、SNSなどを通じて相談できるような取り組みを工夫中で、現在ホームページを作成中です。
前職で約15年間の漢方相談経験がありますので、その経験を活かして漢方相談薬局を新規開局することも実は検討していました。
―新規開局も検討されていたとのことですが、新規開局と譲渡での開局とを比べて良かったのはどんなところですか?
一番は資金面でしょうか。あと新規開局だと門前薬局にするか、面薬局にするかなど開局する場所の問題もあり、1からすべてを準備するとなると多額の資金が必要になりますので、事業譲渡を検討することにしました。実際、自己資金はあまりなかったのですが、融資を受けることなく開局することができました。
資金的な面でも、これから独立をお考えの方はとにかく早く、若いうちがいいと思います。ある程度の年数がないと初期投資費用がなかなか回収できませんので。
―店頭にあるお菓子やOTC商品は引き継ぐ前から置かれているものですか?
半分くらいの商品は以前からのものです。お菓子や日用品、OTC 商品の種類などは来局される方の希望を聞きながら少しずつ変えています。ここ数年、新型コロナ感染防止のため、施設入所者の外出制限がありましたので、薬局が売店として利用されています。昔ながらの懐かしいお菓子も置いています。
―現在はお1人で薬局を運営されているのですか?
ただ、処方せん応需先は施設が中心なので、患者さん1人ひとりに応じた調剤方法があり、それを把握するのにもう少し引き継ぎ時間が欲しかったとは思います。また外来患者さんの長期処方などもあり、一通り慣れるのに3ヶ月くらい要しました。
STEP2:トーク画面でご相談内容を送信