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成功者に聞く 薬剤師の独立開業って?

第13回 古田 守さん(株式会社へるすこ 代表取締役 おはな薬局 綱島店 )

1994年 日本大学薬学部卒業
1994年 製薬会社入職
2022年5月開局

POINT
・ MRからの調剤業務未経験での独立。
・ 自身の強み弱みを把握して、どう生かしてどう補うかを考えることが大事。

―製薬会社のMRとして働く中で、薬局の独立を目指したきっかけや理由について教えてください。

MRとして医師と面談の際、昨今の規制強化において自分の考えを伝えることができない窮屈な業界であると感じていました。

医薬情報を伝える時に公正競争規約があることから、パンフレット通りの文言を伝えるだけで、自由な会話ができず、医師に「これとの違いはどうなの?」と聞かれても、「それはその会社のMRに聞いてください。」と他社との比較は一切言ってはいけないのです。

 

最近ではネットから情報を収集できるので、MRの将来性が問われる中、セカンドキャリアを考えた際に、早く動く必要があると感じました。

 

―独立しようと思ってからどのように行動しましたか?

今から5年前の45歳ぐらいのときから薬局開業を目指していたので、経験を積むため転職活動をスタート、中堅のチェーン薬局に内定いただきました。ただ、コロナ禍になり処方せん枚数が落ち、中途採用枠が中止となってしまい、結果入職することができなくなりました。

 

経験を積むという道を閉ざされてしまい、悩んでいたところネットでユニヴさんにたどり着きました。他社の独立支援サイトにも登録していましたが、未経験者ではできないだろうと門前払いでした。しかしユニヴさんは相談に乗っていただき、未経験者の私でも話を進めてくれてすごく助かりました。

 

その後のオーナーさんとの交渉ごとについても両者うまくいくように橋渡しをしていただきました。

 

―未経験から、独立することへの不安はありましたか?

不安、苦労は仕方がないですね。結局は、畑違いのところにいくので不安はありましたが、普通の薬剤師よりも話を聞く力と医師との付き合い方をわかっている点では負けないと考えていました。

 

現在、開業した薬局は集中率20%の面処方ですが、上位7 ~ 8医療機関は定期的に訪問して、情報交換をしています。クリニックにもよりますが、2、3か月に1回ぐらい訪問し、関係性を保つことで、昨今の出荷調整の変更等のやりとりもスムーズにできています。

 

―ユニヴ担当者と面談してから独立までの期間はどれくらいでしたか?

面談してから案件はすぐに出てきました。この案件が出てきたのが12月で譲渡日が5月でした。ご提案いただいた案件については、断る気はあまりありませんでした。

いろいろ案件を見ていますが、個人薬剤師に提案いただくのは、技術料月100万円以下のような案件です。技術料の高い案件は資金面や実力面から難しいと考えています。そこに文句を言っても仕方がないです。

 

そして、私の考え方の中では、この高齢化社会で処方せんが減るには理由があり、逆に対応がよければ、家族の分も持ってきてくれて、処方せんは増えると思っているので技術料月80万以上ぐらいあればいいと考えていました。

 

―案件が決まってから譲渡までで大変だったことはありますか?

事業承継する薬局の前オーナーご夫妻の方がご理解のある方だったので、譲渡前の2月末から6月中旬まで、管理薬剤師の方から基本的なことを教えていただきました。全般的に保険や調剤など覚えることが多いので大変でした。

 

1人でいきなり運営するのではなくて経験者の薬剤師さんを雇い、体制を厚くして事故は起こさないような手立てはしました。前オーナーご夫婦が良い方だったのが何よりです。

 

―開業してから、実際に売り上げや枚数を増やすための取り組みはされていますか?

ここの薬局は立地的な弱点が大きいと考えています。道路から50mぐらい中に入った場所に薬局があり、近くの路面には薬局が2店舗あるので認知度が低いです。

 

認知度をあげるために、ショーウィンドウにキャラクターの人形を置きました。子供たちがよく通るので、何のお店だろうと見てくれる人も多く、そこからお母さん方がきてくれるようになりました。


また、近隣の薬局は人がたくさん来るけれども、待ち時間がすごく長いことを患者さんから伺っていたので、看板に空いていることや相談事を受け付けていることなどのアピールを行っています。

 

色々な相談事から始まってその結果定着してきてくれている人もいます。

 

―在宅業務への取り組みはいかがですか?

引き継いだときは1人でしたが、今は10人超えています。

当薬局では、服薬状況を改善させるため特別なお薬カレンダーや服薬支援ロボットを取り扱っています。これらの取り組みをケアマネジャーや訪問看護師に紹介したところ、噂では聞いたことあるけれども実際は見たことないとのことで、デモンストレーションを行っています。

他薬局が取り扱っていないため口コミからのお問い合わせなどで在宅の獲得に繋がっています。


また高齢者施設の中にも個人薬局の方が獲得しやすい場合があるので、そこに目を付けて訪問時にアピールを行っています。
このような工夫は、個人薬局には特に必要です。

 

チェーン薬局には研修や機械などの設備には勝てないですが、個人薬局でも必要とすることをしていれば患者さんは増えると思います。

 

―薬局運営することで、大事にしてることはありますか?

生きていく上で「自責の心、他責にはしない」こと、「昨日の常識は今日の非常識」ということの2つです。
 
失敗したときに人のせいにばかりしていると、同じことの繰り返しになってしまいます。全て自分が100%悪くなかったら別ですが、1 ~ 2%でも自分に落ち度があったら自分が悪いと思わないと解決しません。
 
また、薬局も対物業務から対人業務への移行が求められる中で、現在の薬剤師の在り方も変わります。過去に実践したことがないから行わないのではなく様々な在宅を含めた対人業務に取り組む必要があると思っています。
 

―開業して良かったことはどんなことですか?

自由度が高くなったことです。勤務薬剤師は決められた時間内に働き、仕事をこなすという感覚ですが、経営者は時間管理もなく最大限患者さんと向き合わないといけません。
 
しかしそこには会社から押し付けられて行動するのではなく、自分で薬局の強み、弱みを活かしてどのようにするかを決めて動いた結果、患者さんに来て良かったといってもらえるとやりがいを感じます。
 
中には失敗することもありますが、それは自責の気持ちを持って改善していけばいいと思います。逆にそういうことが苦手な人は開業しない方がいいと思います。
 
色々な新しいことに挑戦する人がいいと思います。
 

―これから取り組んでいきたいことを教えてください。

地域に貢献できるような薬局にしていきたいです。
また、店舗展開も考えていて多く増やさなくてもいいですが、2 ~ 3店舗ぐらいにしたいと思っています。
 

―これから独立される方への、アドバイスはありますか?

まずは自分の実力を正確に把握することです。自分の実力というのは、能力+ 資金力。会社に所属して発揮している能力は、会社のおかげで様々な資材やシステムを使用できるから仕事ができていますが、1人になったときには全て自分で判断していかないといけません。
 
多職種や近隣薬局との付き合いも大切で、いろいろなことに目配せして自分のやりたい方向性を決めて実行する強い意志・能力があるか、考えてみるべきだと思います。

これを読んでいる薬剤師の方々の多くは実務経験があり、「初心者がよくやるよ」と感じられると思います。しかしそれこそ対物オンリーの考え方ではないでしょうか。

結局どんな場所であっても“自分の能力、強み弱みを考えて他の方々にどう役に立てて、どう補っていけるか”ということを考えていければ、どこでも生きていけると私は思っています。

また、薬局はスタート月から一定の収入が見込まれる成功率の高い業界です。それプラス頑張り次第でいくらでも売上はあがります。

薬局業界は薬剤師免許が必要なので参入しづらく横並びでした。ただこれからは薬を渡すだけならamazon薬局に患者さんを持っていかれてしまうでしょう。
大事なのはどうオリジナリティーを出すかではないでしょうか。地域の患者さんや医療・介護の方にお役に立てるかの視点が必要です。
 

―結果、独立してよかったですか?

現状では収入は大幅にダウンしました。ただ、それは現時点52歳の収入であって、3年後、5年後、10年後どうなっているかは、これから上げることもできるし何よりも定年のない職業を得たということでは私は独立して正解だったと思います。

1年前と比べても技術料が月30万も伸びました。今後もMRで働いていたらリストラされて無職になっているかもしれませんし、その頃には転職活動もままならなくなっているかもしれません。調剤経験年数は劣りますが、医師や患者さんとの会話力には自信があるので、どのような不安や要望があるかを掴むようにしています。
 
あとは、疾患の病態については企業の製品だったので、循環器領域である心不全、不整脈、糖尿病、高血圧、がんや麻薬については他の薬剤師さんよりもお役に立てると思います。やろうという意思があれば、やれる方法はいくらでもあると思います。
 
 
おはな薬局 綱島店
〒223-0053 神奈川県横浜市港北区綱島西2丁目14−1
 
 

 

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