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成功者に聞く 薬剤師の独立開業って?

第9回 藤本 幸紀さん(株式会社フェリーチェ(そらいろ薬局) 代表取締役)

1998年 大阪薬科大学卒業            
大手薬局、中小薬局にて勤務。        
新店舗の立ち上げや人事などさまざまな業務を
経験し、前職では取締役に就任。
2021年11月 そらいろ薬局守口店を事業承継にて開局

POINT
・元勤務先がM&Aされる話がきっかけになり、独立を決意
・工務店の方と人脈を持っておいて損ナシ。トラブルにもすぐ対応してもらえる
・現状の数字ではなく「この薬局を今後どうしていきたいか?」という観点から譲受を考えるのが○

―人事、取締役……これまでにさまざまな職務を経験されていますが、将来独立することを意識して勤務していらっしゃったのでしょうか?

もともと独立したいと思っていたわけではありませんが、さまざまな職務の経験と勤務先の環境が変わっていく中で独立が視野に入ったという感じです。


私は新卒で大手の調剤薬局に入社しました。大手なら特に仕方がないことかもしれませんが、やりたいと思ったことがなかなかできず、結局は「会社の歯車の1つでしかない」ということに歯痒さを感じ、それがきっかけで中小規模の調剤薬局へ転職しました。
そこでは大手では関わることのなかった新店舗の立ち上げや人事業務などさまざまな経験をさせてもらい、最終的には取締役を任せていただくまでになりました。


ところが、その勤務先が大手薬局チェーンに買収される話が浮上しました。その際に取締役として残るか、ある程度の立場として先方に出向するか打診をされましたが、どちらも断りました。買収先の上層部の指示のもと伺いを立てながら働かないといけないこと、また前々職のような環境に戻ってしまうことや中間管理職的な立ち位置で板挟みになることは、私には向いてないと思ったからです。


そのとき「このまま雇われて働くよりは、自分で独立して頑張った方がいいかもしれない」と思い、独立することを決めました。あとは、処方せん枚数だけに条件を絞らず、かかりつけ薬局になれるような処方内容であること、今後もっと処方せん枚数を増やせる要素がある面対応の方がいいかなと選定基準に取り込んでいました。

 

―今回そらいろ薬局を引き継がれましたが、もともと立地は住宅街、面対応をしている店舗を条件として持っていらっしゃったのでしょうか。

エリアは特に決めておらず、ひとまず自宅から通える場所がいいなとは思っていました。あとは、処方せん枚数だけに条件を絞らず、かかりつけ薬局になれるような処方内容であること、今後もっと処方せん枚数を増やせる要素がある面対応の方がいいかなと選定基準に取り込んでいました。

 

―面対応で使用している薬品数が多いと思いますが、周辺薬局とのお付き合いはありますか?

承継元が運営していたときからお付き合いがあることもあり、周辺薬局とは薬の分譲もしますし、総合病院の薬剤部と門前薬局とで2ヵ月に1回会議があって情報交換もしています。
譲受時は売り上げに対して薬品が豊富すぎるくらいで未使用のものもかなりあったのですが、その分は前職からお付き合いのある店舗と分譲したり、デッドストックを引き取ってもらったりして調整しました。

薬局名は愛犬の「青宙(そら)」から。
ロゴはスタッフと相談して作成。

 

―独立前はヘルプ業務などで拘束時間が長く大変だったかと思いますが、独立されてからお休みやプライベートの時間はきちんと取れていますか?

はい、取れていますよ。門前薬局だと、患者様次第で時間がずれたりして終わりが読めないこともありましたが、今は面薬局なので時間ぴったりに終わりますし管理がしやすいです。事務員は前職で繋がりのある方に平日の午前中だけ働いていただいています。現在は落ち着いてきたので、事務員がいない日でも1人で運営できています。


譲渡後に土曜日も開局するようにしましたが12時までですし、平日も19時まで開局時間を延長しましたが、ほぼ定時に帰れています。開局時間延長については患者様にも喜んでいただけていますし、処方せん獲得にも繋がっています。

 

―薬局を運営される中で、藤本さんが心がけていることを教えてください。

忙しいときでも患者様としっかり会話することを心がけています。
例えば処方せんを入力しながら「処方内容が変わっていますね、体調はいかがですか?」など、様子を伺います。入力作業の段階でコミュニケーションを取りながら患者様の健康管理のサポートすることができているので、かかりつけ薬局になれたら、と思っています。


また、わざわざ遠方から来局されている患者様や引き継ぐ前から来てくださっている患者様もいらっしゃるので、丁寧に接することを意識しています。
中には高額な薬を処方される方もいますし、長期処方になり薬が足りなくなってご迷惑をかけないためにもいつ来局されるかを把握し、来局日に合わせて準備するようにしています。

 

―独立にあたって簿記や経理関係は事前に勉強することをお勧めされる経営者さんは多いのですが、他に藤本さんの経験上事前に知っていた方がいいと思ったことはありますか?

役所関係の申請や手続きの段取りついて、一通り流れを知っていた方がスムーズかと思います。エリアによっては管轄が違うこともあるので、独立する際には押えておくことをお勧めします。また、簿記や経理関係は独学で勉強しました。

 

―あわせて、独立前に繋がっておいて良かったと思う人脈があれば教えてください。

工務店の方を知っておいて損はないかと思います。大工工事や電機工事などそれぞれの業者を探すのは手間になるので、メインとなる工務店の方と繋がっていれば関係各所に連絡してくださいますし、ちょっとした故障修理もすぐに対応してくれます。
あと、今店舗で加入している保険会社の方も前職の繋がりでお付き合いしています。当店舗の前のテナントが空いているので、ドクターの誘致にも繋がればと思っています。薬局関係に限らず、さまざまな業種の方と繋がりを持っておくことをお勧めします。

 

―藤本さんが目指している薬局像について教えてください。

その方だけのかかりつけ薬局ではなく、"家族全員で利用してもらえるようなかかりつけ薬局"になることを目指しています。薬をもらうだけであれば薬局はどこを利用しても変わりないかと思いますが、そうではなく"相談できる"場所になりたいと思っています。
まだ先の話にはなりますが、この店舗を他の方に任せられるくらいの下地ができたら、2店舗目を展開したい気持ちはあります。そして病院で例えると、特定のドクターが曜日限定で診療するところに合わせて患者様が来院されるように、単に薬局ではなく私をめがけて患者様が来られるような形が作れたら理想ですね。
 
―これから独立を目指される方へアドバイスをお願いします。
枚数・売上・利益が分かったうえで資金面と相談するのではなく、「この薬局を今後どうしていきたいか?」という観点から薬局案件を選んだ方がいいのかなと思います。
現状の数字は1つの要素でしかないですし、5年後、10年後に薬局がどのように変わっているかというのはその数字だけでは計れないと思います。そこは自分の頭の中で目標とするものがあると思いますので、そちらを大切にした方がいいのではないかと思います。

医療機関ありきの店舗だと閉院や移転する可能性があるかもしれないですし、当店舗も2年前には目の前にクリニックがあったのですが、そのタイミングでの譲渡だったらかなり譲渡価格が高かったと思います。ですが現状はクリニックが抜け、その頃想像していたものと違ってきています。
数字は数字として判断材料の1つとして持っておいて、個人的には数字のスタートラインが低い方が「増やすしかない・増えるしかない」とプラス思考に考えられると思います。
 

 

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