M&Aの成功例 受け継ぐ薬局のバトン Vol.4
西垣 舞花さん/株式会社Medi Grace メディグレイス薬局 代表取締役
大手の調剤薬局にて、8年間管理薬剤師・薬局長として従事し、生まれ育った豊中市に2018年2月メディグレイス薬局を開設。2024年6月に2店舗目を事業譲渡にて開局。
今回はユニヴのサービスを利用して店舗の買収に成功し、店舗を拡大した経営者の例を紹介します。
どんな想いで、どんな店舗を選ばれたのでしょうか?
―薬局のコンセプトや取り組みについて教えていただけますか。
当薬局では『未来を創る、H e a l t h&Beauty薬局』を掲げており、皆さまの毎日が輝くための健康と美の追求を目指しています。薬だけではなく、健康や美容をサポートできる薬局づくりを心がけています。
―ホームページを拝見しても美容に力を入れている印象を受けました。OTC(一般用医薬品)はご自身で選ばれているのですか。
そうですね。自分自身で使用してよかったと思うもののみを販売しています。薬は必要なものですが、最終的には薬に頼らず健康でいられるような生活を目指して、サプリメントや美容商品を取り入れたライフスタイルを提案したいと考えています。
美容は心の健康にも大きく関わっていて、少しでも美しくなることで前向きな気持ちになれると思います。
「やらずに後悔するより、やって後悔したい」常にそう思っています。
取り扱っているOTC
―薬剤師として働く中で、独立して薬局を開局しようと思ったきっかけについて教えてください。
大学時代から独立を想い描いていました。当時、医薬分業が進む中で、処方せん調剤のみに特化した薬局が増えていく様子を見て「自分が薬局を開くなら、もっと患者さんに選ばれるような、新たな健康・美容スポットとなる場所を作りたい」と思いました。
―1店舗目は新規で開局されたのですよね。
はい、そうですね。近隣のクリニック様は開業してから15年以上も経過していて、院外処方も長年続けられていました。近くにビルが新しくできるタイミングで開局させていただきました。ただ、当初そのビルは医療モールになる予定でしたが、最終的にその計画は白紙になりました。
結果的には、処方元のクリニック様がとても人気なので、多くの患者様に薬局をご利用いただいてます。医療モールだったら、逆に対応しきれなかったと思うくらいです。
―1店舗目の運営が軌道に乗る中で、さらに店舗を増やそうとお考えになったのはいつ頃ですか。
最初は1店舗だけで、自分が薬局でプレイヤーとして動くつもりでした。でも、ありがたいことに患者さんが増えて、それに伴いスタッフを増員する必要が出てきました。
スタッフを雇用する責任が増し、安定的な経営を目指すためにも、事業拡大としての店舗展開を考え始めました。
―店舗展開のためにしていたことはありますか。M&A仲介会社にもご相談されましたか。
新規開業を考えていたので卸さんに相談したりしていました。
M&Aの仲介会社で営業に来てくださった方から、店舗買収のご提案をいただいたことはありましたが、当時はM&Aに対してあまりイメージが良くありませんでした。M&Aのイメージとして、経営が厳しい店舗を引き継ぐというイメージが強かったからです。また、スタッフとのチームワークを重視していたので、別会社と合併することにも不安がありました。
―M&Aに対して不安もあった中で、最終的に決意をされたきっかけは何だったのでしょうか。
ユニヴさんから直接店舗にお電話をいただき、偶然にも電話を受けたのが私でした。ユニヴさんとは、以前にファーネットマガジンの表紙に掲載していただいたり、インタビューを受けたりしたことがありました。それで「以前からお付き合いのあるユニヴさんなら、少し話を聞いてみようかな」と思いました。そういったご縁がなければ、「いや、M&Aはちょっと……」と断っていたかもしれません。
お話を伺ってみると、駅前かつ、他店舗との距離が近く好立地の案件だったので、これはチャンスだと考えました。
ファーネットマガジン30号にて表紙モデルを務めていただきました!
―この薬局を買収するまで、不安や課題はありましたか。
もちろん不安はありました。でも不安よりも「チャレンジしたい」という気持ちが強くて、アドレナリンが出るような感覚で「とにかくやってみよう!」と、即決で突き進みました。
―M&A後に店舗運営で困ったことはありましたか。
今回のM&Aでは、スタッフ・レセコン・医薬品の発注システムは継承なしで総入れ替えでした。引き継いだ翌日から開局したため、夜中に機材などの搬入・設置作業があり、取引先卸様、レセコン会社の皆さまに深夜までご協力頂き、開局当日はほぼ徹夜で臨みました。
1番困った事は、レセコンの総入れ替えにより、既存患者様に対しても全て新患対応となり、データの移行に時間を要してしまったことです。
現在は開局から5ヶ月程経過し、データ移行もほぼ完了し、使用頻度の高い医薬品についても把握できるようになりました。
―今後も店舗展開はご検討されていますか。
ウェルネス業界の発展に貢献していくという想いは大前提に、調剤薬局の経営のみならず新しい事業にも取り組んでいきたいと考えています。
―この業界での考えや、今後の目標についてお聞かせいただけますか。
女性薬剤師は、結婚や子育てといったライフステージの変化で、多くの方がパート勤務にならざるを得ないのが現状だと思いますが、経営者となり薬剤師業務以外に経営の仕事を行うことで、自分自身で働く時間をコントロールすることができると考えます。
もちろん、経営が軌道に乗るまでは相当な覚悟が必要ですが、やりがいもありますし、女性経営者が増加することで女性特有の視点や能力を活かした新しい価値創造に繋がるのではないかと考えます。
メディグレイス薬局
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メディグレイス薬局 豊中駅前店
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