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今月のPickUpファーマシスト

第21回 木原 愛理さん(公務員薬剤師)

今月のPickUpファーマシスト

さまざまに活動、活躍されている薬剤師&薬学生の方のインタビューをたっぷりお届けします!

木原 愛理さん

立命館大学薬学部を卒業、薬剤師免許を取得。
卒業後、公務員薬剤師として保健所にて勤務。ホテルなど宿泊施設の指導、飲食店の食品衛生指導を行う。(取材時、現在は退職。)

公務員薬剤師として働く魅力

―薬剤師を目指したきっかけを教えてください。

母から勧められたのが一番の理由です。


私は産まれたときから母子家庭で母の実家で祖父母と母と4 人で過ごしていました。祖父母は自営業を営んでいたのですが、景気の変動が激しく苦労していたところも身近で見ていました。そのため私には「そういった思いをしてほしくない、手に職をつけてほしい。」と幼い時から母に言われていました。


その中で、当時住んでいた家の隣がたまたま薬局で身近に薬剤師さんがいたこと、また私自身、昔から数学などの理系科目が得意だったこともあり薬学部を志望しました。

 

―では元々は調剤薬局で薬剤師として働くつもりだったので
すか?

正直そこまでは考えずにとりあえず薬学部を目指して勉強して、結果1 年間の浪人を経て入学したのですがそこで結構燃え尽きてしまっていました。というのも幼いころから親に言われたままに資格のとれる道を進んできたので、実際に授業を受けてみたら正直面白みを感じられませんでした。ただ、学費もかかっていて迷惑もかけたくなかったので勉強しつづけました。


そんな中、就職活動の時期になったときに「薬を扱うということは命に関わることで、こんな気持ちでその業務をしてもいいのだろうか?」と抵抗を感じるようになりました。

 

―そこで目指したのが公務員なのですね!

そうですね。薬剤師の資格も活かせて、人の命にあまり直接的に関わることがない。また、当時付き合っていた方の親御さんが薬剤師職の公務員として働かれているのを伺って、公務員試験の勉強を始めました。

 

―公務員薬剤師ってどういった業務をされているのですか?

私の経験した業務が全てではないと思うのですが、これまで2 つの部署を経験しました。


1つは宿泊施設の監視指導業務です。宿泊施設って国全体の法律だけでなく、地域の条例などによっても取り決めがあったりするので、例えば全国展開されているようなビジネスホテルだとしても地域によっては同じやり方だと指導対象になってしまったりするのです。例えば今はセルフチェックインを色々な場所で見かけたりしますが地域によっては条例でNG だったりします。以前それを指導した際は結構反発もあったりしました(笑)。


2つめは今の部署になるのですが、こちらは範囲が幅広く、飲食店の営業許可や食中毒関連の調査、美容室・理容室・クリーニング施設の開設、犬の登録に関する手続きなどの業務を行っています。

 

―1日の業務の流れを教えてください。

朝8 時半に出勤し、午前中はメールのチェックや電話対応、窓口対応業務が中心になります。午後は新しく開店するための申請があった店舗へおもむき現地調査をおこなったりすることが多いです。 

調査が終わり次第、事務所へ戻りその日の調査のまとめなどの事務作業を行って1日が終わります。

 

―苦労したことなどはありますか?

1 番はやはりコロナ禍での業務です。
通常の業務に加え積極的疫学調査を行わなければならず、日中・夜間どちらかシフト制のような感じで担当し、リストの番号に電話掛けをしていました。ただ本当に対応が間に合わず、厳しい意見も多かったのできついなと感じることが多かったです。

 

―逆に働いていてやりがいを感じるときはどんな時ですか?

決して表に出るようなことではありませんが、飲食店の営業許可や美容室の開設などを担当することで、皆さんが安心して食事をできたり、その場に楽しみを間接的ではありますが提供できたりしていると思うと、私自身も嬉しくやりがいを感じます。
また、やりがいとは少し変わりますがやはり公務員というところで福利厚生や休暇の取りやすさ、残業時間や手当などはきっちりとしているので、そこも公務員として働く魅力の1 つだなと思います。