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宮本社長、教えて! 新卒薬剤師が持つべき 12ヶ月の心構え

6月のアドバイス「『気のゆるみ、思い込み、認識違い』に要注意」

6月になると職場の動線、人間関係、薬の配置など、一通り把握している頃だと思います。

業務のスピードも速くなり、職場のルールにも順応できるようになるなど、慣れてきた頃に気を付けたいのは「気のゆるみ、思い込み、認識違い」です。

気のゆるみ

慣れてきたこの時期に多いのが、気のゆるみ。気のゆるみは、少しずつマンネリ化することで起こりやすくなります。決まった処方が多いと「いつもの薬だ」という感覚で、気が付かないうちに間違えている場合があります。

処方せんを隅々まで見る癖をしっかりつけること! 気のゆるみで確認を抜くことのないようにしていきましょう。

思い込み

例えば、いつも28日処方で出ている処方せんが急に35日分に変更になった場合、気が付けば良いのですが、思い込みが勝ると28日分で薬を集めてしまう可能性があります。

薬の規格に関しても同様です。薬局の在庫を把握してきた頃に、在庫に無い規格の薬なのにあると思い込み準備してしまうことがあります。

処方せんの文字、1文字1文字をしっかりと確認する習慣をつけていきましょう。

認識違い

医師の処方意図が分かり始めた頃、イレギュラーが起こった際に認識違いを起こす場合があります。

例えば処方日数にずれがあった場合、日数調節なのか、それとも検査のための短期間の中止なのか、処方せんに指示が書かれていない場合は患者さんに確認することがあります。もし検査のための中止指示があったにも関わらず、残薬調整と認識して残っている薬から飲んでくださいと説明してしまうと、患者さんは中止するはずの薬を飲んでしまいます。これは明らかな指導ミスです。

認識違いで患者さんに誤解を与えないよう、患者さんの話をよく聞いたうえで判断するようにしましょう。

対処方法

「気のゆるみ、思い込み、認識違い」は、なかなか気づきにくいものです。周りに指摘されて初めて気づくこともあります。その際はもう一度原点に戻り、以前メモした内容を見返すことも良いかもしれません。そして、起こりやすいから気を付けなければという意識を持つことが大切です。

薬剤師にとっては多数のうちの1人ですが、患者さんにとっては処方せん1枚が全てです。そのため、失敗は1つでも許されません。調剤とは常に100点を取らなくてはならない仕事なので、「気のゆるみ、思い込み、認識違い」のないようにしましょう。

プラスαの知識も持とう

業務に慣れてきた頃から始めていきたいのは、プラスαの勉強をすること。調剤薬局に勤めている方であれば、薬や病気以外に保険制度やレセプトなど保険薬剤師として知っておかなければならない知識があります。

保険や調剤報酬等については知っていて当然とみなされるため、医療事務さんではなく薬剤師が知っておかなければいけません。算定要件なども十分に理解することが大切です。早いうちに知識をつけていきましょう。

薬剤師様ではなく、薬剤師

周りから「薬剤師ってすごいね」と言われたり、MSさんやMRさんから「先生」と呼ばれたり……業務に慣れてくるとチヤホヤされることがあります。そうすると、中には「自分は先生と呼ばれているんだ、だからすごいんだ」と残念ながら勘違いする方がいます。ですが、そのような考えは何の得にもなりません。

"薬剤師様"と驕っていると、相手にもそれを見抜かれます。この人は横柄だな、自分がすごいと思い込んでいるな、と一度引かれてしまうと、いざというときに助けてもらえなくなってしまいます。仕事ではありますが、相手も人間。「この人のために頑張りたい・頑張りたくない」といった気持ちに行動が左右されることもあります。井の中の蛙にならず謙虚な姿勢でいることが大切です。

薬剤師様ではなく、薬剤師。薬剤師であることに誇りと責任を持って行動しましょう。