薬剤師のための心と身体のスタイル提案マガジン ファーストネットマガジン

WEB連載

薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ

第35回「公費について③21自立支援医療(精神通院)」

久々の公費シリーズです!今回は「21」についてまとめました。

 

■21公費ってどんなもの?


自立支援医療制度の中には、精神通院医療・更生医療・育成医療の3つがあります。

「21」と言われるのは精神通院医療で、通院による精神医療を続ける必要のある方の自己負担を軽減するための公費制度です。

対象となるのは精神保健福祉法第5条に規定されている

・統合失調症

・精神作用物質による急性中毒又はその依存症

・知的障害その他精神疾患を有する者

で、その治療のために継続的な通院が必要になる場合です。

 

では「その他精神疾患」に何が該当するのかというと、厚生労働省が例として下記の疾患を示しています。

・うつ病、躁うつ病などの気分障害

・PTSDなどのストレス関連障害や、パニック障害などの不安障害

・知的障害、心理的発達の障害

・アルツハイマー病型認知症、血管性認知症

・てんかん

など。

 

■対象となる治療の範囲は?

精神障害とそれに起因する病態に対しての通院、投薬、デイケア、訪問看護等が対象となります。精神”通院”医療という名前からも想定できるように、入院治療の場合は対象外です。また、精神障害とは関係のない疾患に対しての医療費も対象外です。

一般的に感染症、新生物、薬物副作用以外のアレルギー、筋骨格系の疾患は精神障害が起因するとは考え難いとされています。

風邪薬等が一緒に処方されている場合は監査の際注意しましょう。

 

■公費でどのくらい負担が軽減される?

この公費により医療保険での自己負担割合が3割や2割の患者は負担が1割に軽減されます。また、世帯所得に応じて自己負担上限額が定められています。

さらに高額な治療を長期間必要となる「重度かつ継続」に該当する方には別の上限額があります。

 

「重度かつ継続」とは

①直近12ヶ月で医療保険の高額療養費の支給を3回以上受けた方

②3年以上精神医療を経験している医師から計画的かつ集中的な精神医療が続けて必要と判断された方

のどちらかに該当する方。

 

なお、区市町村民税課税世帯で、所得割が年23万5千円以上に該当し、「重度かつ継続」でない場合は公費負担の対象外となります。

■どこの医療機関でもいい?

21公費では申請の際に、医療機関も記載しなければなりません。その医療機関が受給者証に記載されるので、記載された医療機関での医療に対してのみ助成を受けることができます。

医療機関自体も各都道府県または指定都市が指定した「指定自立支援医療機関」でなければなりません。指定を受けることができるのは病院、診療所、薬局、訪問介護ステーションです。

 

【参考】

厚生労働省 自立支援医療

東京都福祉局 自立支援医療(精神通院医療)について