薬剤師のための心と身体のスタイル提案マガジン ファーストネットマガジン

WEB連載

薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ

第36回「検査値と生活指導①」

 

薬局で働いていると、患者さんから採血結果について質問されたり、アドバイスを求められることもありますよね。

今回は基準値や目標値、生活指導についてまとめました。

 

■クレアチニン(Cr)

eGFRの計算にも使用される、腎機能の指標となる数値です。

クレアチニンはクレアチンの最終代謝産物として筋肉から生じ、腎尿細管でほとんど再吸収されることなく排出されます。そのため、腎機能が悪化していると排出が低下して血中濃度が高くなります。

筋肉量に比例することから基準値は男性の方が高くなっています。

食事のポイントとしては塩分を摂りすぎないこと、水分をしっかり摂ることが腎臓への負担を減らします。また、過剰なタンパク質摂取も腎臓の負担になるため、CKDにおいては摂取量の制限が推奨されていますが、高齢者の低栄養への注意も必要です。

医師等の指示も確認しながら、腎機能の程度や個々の病態に応じた指導をしましょう。

 

■尿酸(UA)

核酸の構成成分であるプリン体の最終代謝産物の尿酸は高尿酸血症の治療の指標となります。7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、8.0mg/dL以上で治療開始が考慮され、6.0mg/dL以下を目指します。

 

上昇する要因としては、

・脂肪食やアルコール多飲により尿酸産生過剰になる場合

・飢餓や糖尿病、尿路閉塞などで尿酸排泄低下になる場合

があります。

 

食事では尿酸の溶解度を高めることを期待して、アルカリ性食品が推奨されます。また、十分な水分摂取も大切です。

一方でプリン体を多く含む食品は控えることが望ましいです。

具体的には内蔵類や魚の干物などです。

また、アルコールはプリン体の有無に関わらず、代謝の過程で尿酸上昇に関与するので、飲み過ぎには注意しましょう。

 

■血糖(BS)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)

血糖は血液中に含まれる糖質。食事やホルモンによって上下します。

上昇させるホルモンとしては

・グルカゴン

・コルチゾール

・成長ホルモン

など、一方で低下させるホルモンはインスリンです。

食事の影響が大きいので早朝の空腹時に採血することが多いです。

 

そして糖化ヘモグロビンとは赤血球中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したもの

採血前1〜2ヶ月の平均のコントロール状態を示します。

 

空腹時血糖126mg/dL以上またはブドウ糖負荷後2時間値200mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上のいずれかとHbA1c6.5%以上であると糖尿病型と診断されます。

治療目標としては、

①血糖正常化を目指す際の目標:6.0%未満

②合併症予防のための目標:7.0%未満

③治療強化が困難な際の目標:8.0%未満

となっています。

 

数値の改善には食事と運動が重要になってきます。

食事では年齢や病態を考慮した体重に対して適切な総エネルギー量を摂取することが推奨されています。

また食べ方も野菜から食べたり、早食いしないようによく噛んで食べたり、規則正しく食べたりという工夫も大切です。

運動では有酸素運動とレジスタンス運動が有効です。

 

有酸素運動

・中強度の運動を週に150分以上、週3回以上

・運動をしない日が2日以上続かないように

 

レジスタンス運動

・連続しない日程で週2〜3回

が推奨されています。

 

それぞれ単独で行っても有効ですが、併用するとさらに効果が上がります。

 

今回は、クレアチニン、尿酸、血糖、HbA1cについてまとめました!

次回は肝機能に関わる数値をまとめていきます。

 

※基準値は医療機関により異なる場合があります。

 

■参考

検査値ガイドブック第2版 第3部(p102〜193)生化学検査(江口正信、水口國雄 サイオ出版)

日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018

日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第3版)(2019改訂)

日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019