薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ |
第40回「メサラジンの先発品はどう違う?」
メサラジンには徐放性の錠剤と腸溶錠があり、成分の放出方法の違いによって効く部位や適応が異なります。
どのような違いがあるのかまとめました。
■ペンタサ錠250mg、500mg
成分:メサラジン錠(徐放)
適応:潰瘍性大腸炎、クローン病
用法:
[潰瘍性大腸炎]
1日1500mg(小児:30〜60mg/kg)を3回食後に分けて服用。
寛解期は1日1回でも投与可、2250mg/日まで。
活動期は4000mg/日を1日2回に分けて投与可。
[クローン病]
1日1500〜3000mg(小児:40〜60mg/kg)を3回食後に分けて服用。
剤形:錠剤、顆粒、坐剤、注腸
時間依存性に成分が放出される薬剤です。
メサラジンがエチルセルロースの多孔性被膜でコーティングされており、その隙間から徐々に放出されます。そのため、小腸から大腸にかけて広く作用するので、メサラジンの中で唯一クローン病への適応もあります。
この放出機構を壊さないようにするため、噛まずに服用し、乳鉢での混合粉砕も避ける必要があります。ただし、250mg錠も500mg錠も割線入りで二分割しての服用は可能となっています。また、エチルセルロースは水に溶けないため、糞便中に破片が出てくる場合があります。初めて服用する方には服薬指導の際に伝えておきたいですね。
■アサコール錠400mg
成分:メサラジン腸溶錠
適応:潰瘍性大腸炎
用法:
1日2400mgを3回食後に分けて服用。
寛解期は1日1回でも投与可。
活動期は3600mg/日での投与可。
剤形:錠剤のみ
pH依存性に成分が放出される薬剤です。
メサラジンがメタクリル酸コポリマーSでコーティングされており、pH7以上で溶けます。そのため、胃や十二指腸では溶けず、小腸を通り回腸付近から溶け始め、大腸の炎症部位に効率的に作用します。
一旦溶け始めるとpHに関係なくメサラジンが放出されるため、噛まずに服用し、乳鉢での粉砕も避けます。糞便中に茶色の破片が見られることがありますが、これはコーティング剤の残りのため心配する必要はありません。
■リアルダ錠1200mg
成分:メサラジン腸溶錠
適応:潰瘍性大腸炎
用法:
1日1回2400mgを食後に服用。
活動期の通常量は1日1回4800mg。
剤形:錠剤のみ
表面はpH依存性の高分子フィルムでコーティングされ、さらにマルチマトリックス構造になっている薬剤です。
アサコールと同じく大腸付近に到達してから溶け始めます。そして腸液にさらされると親水性基剤と親油性基剤からなるマトリックス中に分散されているメサラジンが徐々に放出されます。
この構造により、大腸全域に持続的に作用させることが可能になっており、1日1回の服用で済みます。他の薬剤同様、粉砕はできません。一方で他の製剤と異なる点として、冷所(1〜15度)保管しなければならないという注意点があります。室温の上限である30度で保管すると、溶出性が規格上限付近まで上昇してしまうためです。
冷所保管の錠剤は少ないので覚えておきたいですね。
■参考
ペンタサ、アサコール、リアルダ 各添付文書、インタビューフォーム