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WEB連載

スポーツファーマシスト学習記録

第10回「スポーツファーマシスト資格取得前後のギャップ」

こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。

皆様、ご無沙汰しております。梅雨に入り、いよいよ夏が近づいてきました。いかがお過ごしでしょうか。

 

私は4月から環境が変わり、少しバタバタしておりました。環境が変わることは、自分が思っているより精神的負荷がかかっている状態にあると言われています。気付かぬところでプレッシャーがかかっていたり、今までだったら気にしなかったことも注意しないといけなかったり。その際、身体の中は交感神経が活発になっています。

交感神経活発のイメージは、いわゆる「戦闘状態」です。この状態が続くと、身体がずっと緊張状態にあるので、不眠や胃腸障害、肩こりなどの自覚症状に繋がってしまうことがあります。

 

おすすめの解消法は深呼吸です。えっそれだけ? と思う方もいると思いますが、意外と呼吸って重要なんです。5秒かけて息を吸う・吐く動作を、まずは5回行ってみましょう。この動作のときはなるべく外界からの刺激を入れたくないので、できれば目を閉じてください。単純な動作ですが、体が緊張しているときは、呼吸動作に5秒かけるのも結構大変なものです。難しい場合は大きくお腹から呼吸するような意識で試してみていただければと思います。

 

今月からまた連載を再開することとなりました。

今までは「プレスポーツファーマシスト」という立場から、資格を取得するための勉強について書いていました。これからは、新米スポーツファーマシストとして感じたことやその他の活動についていろいろ書いていこうと思っています。まだまだ知らないことも多く、実際に現場で活躍されている方からすると至らない点もあると思います。新米の一意見として大目に見てくださると幸いです。

 

今回は資格取得後の現状について正直に書いていこうと思います。

大学入学する前から、目指していた資格。大学生の頃までは「資格取得したらスポーツの世界で働くことができる」なんて大きなイメージを抱いていました。しかし、現状は違いました。では、何が違っていたのでしょうか? 今回は大きく分けて2つの観点から探っていこうと思います。

 

■その1 アスリートへの認知度が低い

「ドーピング」という言葉はほとんどのアスリートが知っていますが、「スポーツファーマシスト」という人がいることを知っているアスリートはほんの一握りです。私も幼い頃から本格的にスポーツをやっていましたが、薬学部に進学しなければたぶん知らないままだっと思います。

それもそのはず、2009年にこの資格が誕生したので、まだ10年ちょっとしか経っていません。JISS(国立スポーツ医科学センター)など積極的にスポーツファーマシストを採用している場所に通う選手であれば、身近に感じてもらえているかもしれません。けれど、地方で活動しているアスリートやジュニアアスリートには、なかなか浸透していないのが現状です。

以前、冬季競技で活躍していた選手とお話させていただく機会があり、「将来はスポーツファーマシストとして活動したいです」と伝えたところ、「スポーツファーマシストって何するの?」と返されてしまいました。これはあくまでも私の経験談ですが、実際アスリートにこのような疑問をぶつけられた方も多いのではないかと推測します。

 

■その2 スポーツファーマシストの職能を生かせる場所が限られている

前述の通り、スポーツファーマシスト制度は2009年に開始されました。では、統計結果が出ている令和2年度の数字で計算してみます。

令和2年度認定者までを合計すると68,649人のスポーツファーマシストが誕生しています。全国に321,982人の薬剤師がいるので、単純計算すると全薬剤師の20%程度が本資格を取得していることになります。60,951ある薬局数から考えても、各店舗に1人はスポーツファーマシストがいるということになり、数字だけ見るととても身近な存在に思えます。

ただし、実際にスポーツ選手に関わっている人は、各競技の協会に所属している方やアスリートが通っている病院に勤務している方などはほんのひと握りです。せっかく資格取得しても、更新しない人も多いという話もあります。

 

この状況を少しでも改善するため、活動範囲を広げようと動き出している方々もいます。トレーナーや栄養士など他職種の方と連携し、よりスポーツ現場を知ろうと努力しているドーピング0会などの団体もあります。もっとスポーツファーマシストという資格を知ってもらおうと広める活動している方もいます。

前述のことだけ見ると、これから資格を取ろうという方はなんだか少し残念な気持ちになるかもしれません。けれど、私はスポーツファーマシストの活動は今度もっともっと広がる可能性を感じています。その一端を担っていけるよう、私も努力していきたいです。

 

久々だったので、長々と書いてしまいました。

次回以降は話題をころっと変えて、実際のスポーツ現場の話やスポーツ栄養などについてお話しようと思います。

では、本日はここまで。これからもよろしくお願いします!