スポーツファーマシスト学習記録 |
第13回「アドバイス時、基本の見落としに注意!」
こんにちは。新米スポーツファーマシストのシトロンです。
恋しい夏休みが終わってしまいました。大学生のときは1ヶ月以上の長期休みだったので休んでいる気分になれたのですが、社会人の夏休みは数日間。
今になって「学生のうちに遊んだほうがいいよ」と言っていた先輩の言葉が身に沁みます。勉強だけじゃなくて海外旅行とか行っておけばよかったなぁ……。なんて後悔は置いておいて。
では、本題に入ります。
今回は、実際にあった問い合わせとその対応について皆さんにシェアしたいと思います。
事前に、一つだけお伝えしておきます。
お伝えするのはあくまでも私なりの対応例ですので、他にもっといい回答例があるかもしれません。もし「私ならこうする」などいい案がある方がいらっしゃれば、InstagramのDMにて教えていただけると嬉しいです。
相談者:コーチ
海外遠征中。鼻水・くしゃみなどのアレルギー症状が出た選手がいたため、持参していた市販の鼻炎薬を使用して良いかについての問い合わせ。
回答者:シトロン(要点のみ簡略)
- ドーピング禁止物質は含有していない
- クロルフェニラミンが含まれているため、口渇・眠気の副作用が生じる恐れがある
- パフォーマンスに悪影響が出る恐れがあるため、服用タイミングには注意が必要
上記のように回答しました。けれど、私はこのとき、かなり大事なことを確認できていませんでした。
回答事項を送って数回やりとりした後、相談者からこんな連絡が来ました。
相談者「あれ、この薬使用期限切れていました」
シトロン「!! 使用期限が過ぎたものは使わないでください!」
実は対象の商品名を調べたとき、製薬会社のサイトに「生産終了」の文字が表示されていました。
市販薬は通常製造から3年が使用期限になっています。ドラックストアに並んでいる商品も各店舗によってそれぞれ製造日が異なる場合があるので、商品についているロット番号がないと正確な使用期限を確認することはできません。
私も実際「生産終了」の文字を見たとき一瞬「大丈夫かな?」と思いました。しかし、使用期限が切れているとは正直想像していませんでしたし、確認した前提で話が来ているのかと勝手に予測してしまったのです。
このときの私は、薬がドーピングに該当するかどうかばかりに目がいってしまい、基本的なことが見えていなかったのだと思います。
この後相談者と話し合い、現地のドラックストアで買える薬をGlobal DROにて検索し回答しました。また、今後は遠征前に薬の使用期限を確認するよう相談者に注意喚起を行いました。
以上、経験談を共有させてもらいました。
今回の例は完璧な対応例ではありません。けれども、この対応例をふとしたときに思い出していただければ、よりアスリートにかかるリスクを減らすことができるのではないかと思います。私も、本事例を通じて、教科書通りにはいかないのだということを強く実感しました。スポーツファーマシストの資格取得後も日々勉強が大事ですね。
今回の記事はこれで終わりです。
特に海外では市販薬の種類が日本と異なるので、現地調達はより注意が必要です。研修で出会ったアスリートからも、「近くに相談できる人がいたらもっと競技に集中できたのに」という声を聞きました。
私はそんな思いをするアスリートが少しでも減るように、今後も積極的に活動していきたいと思います。また皆さんに共有できる事例がありましたらここで取り上げますね。
それではまた次回。シトロンでした。