スポーツファーマシスト学習記録 |
第23回「虫除けの成分“ディート”について」
こんにちは。スポーツファーマシストのシトロンです。
すっかり夏ですね。7月ってこんなに暑いのかと毎日痛感しております。
学生の皆様は前期テストが終わり夏休みに入る時期でしょうか? 久しぶりに長い間外へ出て熱中症にならないように気をつけてくださいね!
今回の記事は季節にちなんで夏っぽいテーマでお届けしようと思います。
取り上げるのは、この時期の必須アイテム「虫除け」です。
蚊に刺されると痒くて集中できなかったり、ついつい掻いてしまったりといった経験がある方も多いのではないでしょうか。
最近、ある会社から新しい機序の虫除けが発表されました。朝のニュースで見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。まだ市場に出回る時期など詳しいことは未定とのことですが、個人的に注目しています。
けど虫除けってスポーツファーマシストと関係ないんじゃ……と思ったあなた! そんなことはないです。関係あります。私も去年1年間で5回ほど虫除けに関する問い合わせを受けました。特に海外遠征時への準備段階でご相談を頂くことが多かったです。
その内容について触れると長くなってしまうので、機会があれば別途ご紹介しようと思います。
ところで皆さんは、虫除けの種類の違いを知っていますか?
市販の虫除けは有効成分が製品によって異なります。また医薬品や防除用医薬部外品など分類もそれぞれ違います。
成分もさまざまな種類がありますが、ここでは日本で昔から使用されている「ディート」という成分についてご紹介したいと思います。
ディートは1964年にアメリカで開発された昆虫忌避剤です。嗅覚などの感知能力を撹乱することで、血を吸う場所が分からなくなり、その結果刺されにくくなる効果があります。蚊だけでなく、ダニ・アブ・ブヨなどにも対応しており、商品としてスプレータイプ・液体タイプなどさまざまなタイプが販売されています。
ディートを含有している商品は、その濃度によって医薬品・防除用医薬部外品の2種類に分類されます。「濃度が高い=効き目が強い」と思われがちですが、そういうわけではありません。濃度の高さは効果の持続時間に影響します。実際には発汗量などで誤差が生じてきますが、10%濃度だと2時間、20%濃度だと4時間効果が持続するというデータもあります。
10%濃度以下の商品は防除用医薬部外品、それ以上の濃度だと医薬品に分類されます。ちなみに、現在日本で最も濃度の高い商品は30%濃度です。
商品の濃度は「商品説明」や成分表の欄に記載がありますので、購入する際は確認してみてください。
1点、注意してほしいことがあります。
ディートにより稀に神経障害や皮膚炎を起こす報告があったため、子供への規制が設けられることになりました。12歳以下の選手に使用する際は確認が必要です。詳しくは以下の表を参照にしてください。
参照:ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について(厚生労働省 通知文 平成17年8月24日 薬食安発第0824003号)
いかがでしたでしょうか? 今回は虫除けについてお伝えしてきました。
ちなみにディートを使用した商品は
「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック2023年版」(作成:日本薬剤師会・日本スポーツ協会 協力:鹿児島県薬剤師会)の使用可能薬リストにも記載されています。ご参照ください。
少しでも虫除けについての理解を深めていただければ幸いです。
この記事を読み終えた後、身の回りにある虫除けの成分をもう一度見てもらうと、今までとは違った見方ができるかもしれません。
何か気になることがあれば、InstagramのDMなどでコメント頂ければ嬉しいです。
暑い日が続いております。体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。
以上、シトロンでした!