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スポーツファーマシスト学習記録

第22回「漢方薬とそれ以外の見分け方」

こんにちは。スポーツファーマシストのシトロンです。

今回で記事を書き続けて2年が経ちました。

書き始めた当初は資格取得している最中で、内容の中心は私の勉強記録でした。その後資格を取得したことで「もっとスポーツファーマシストについて多くの人に知ってほしい」という思いに変わり、今も同じ思いで続けています。

実際、この記事を通じて私の活動を知ってくれる方が徐々に増えてきています。

記事を書くなんて大学生のときは思ってもいませんでしたが、最近ではライフワークになりつつあります。こうして発信する機会を作ってくださった方々に感謝しつつ、これからも書き続けたいと思っています。

 

さて、今回のテーマは「漢方薬」です。

あれ、漢方薬って前にもあったテーマじゃないかな? と思ってくださった方、しっかり読んでいただきありがとうございます。そうです、第2回第12回で少し触れさせていただきました。

 

漢方薬は天然由来の生薬を原料にしているので、分析によって成分を全て把握することができません。そのため「禁止物質が入っていないという判断ができないため、使用は控えるように」とお伝えしてきました。

私も選手の方にお話しするとき、同じような説明をしています。選手も理解してくれて、病院で処方変更できたパターンもありました。

ここで一つ考えて欲しいことがあります。ドラックストアの薬を選ぶとき、漢方薬(生薬成分が含まれている)かそれ以外かの見分けってどのようにつけますか?

薬剤師や薬学部の学生であれば、箱の成分欄を確認すれば見分けがつくと思います。しかし選手の場合はどうでしょう?

 

多くのドラックストアは「漢方薬」の棚を設けて、商品を陳列しています。このため、「漢方薬の棚に陳列されている商品を選ばないようにすればいい」と思い込んでしまっている選手もいます。このままではうっかりドーピングにつながるリスクが高いということは、イメージが湧きますよね。

ちなみに、先程の選手に改めて説明したら「薬ってかなり分かりづらいですね……」と言われました。

 

 

漢方薬に含まれる生薬成分は、鎮痛薬や便秘薬などいろいろな棚にある薬にも含まれています。分かりやすく「漢方」などの記載があれば判別がつくと思うのですが、中にはパッケージを見ただけでは判別しづらい商品も存在します。症状があって辛いときに、商品の成分欄に記載されている成分を一つずつ調べて購入するのは大変だろうなと個人的にも思っています。

そんな時簡易的に使用していいかどうか判断できる医薬品リストがこちらです。

アンチ・ドーピング 使用可能薬リスト2023年版(日本スポーツ協会)

 

このページには使用して良い医薬品の名前リストが記載されています。医師から処方される「処方薬」とドラックストアなどで販売している「市販薬」の2種類があるので、今回のような場合は「市販薬」の欄から同じ名前の薬を探していただければ大丈夫です。

ただし、注意点が2点あります。

1つ目は「製品名が完全に一致する薬を選ぶこと」です。商品名が一字違うだけで禁止物質が含まれている場合があります。特に総合感冒薬に多いケースです。

2つ目は「リストは1年ごとに更新される」です。

禁止物質は毎年1月1日に更新されます。なので、必ず最新のリストをチェックしてください。今回掲載したリストは2023年12月31日まで使用できます。

 

いかがでしたでしょうか?

生薬はきっと皆さんが想像している以上にさまざまな市販薬に含まれています。選手に伝える際には「漢方薬は使用を控えるように」という話だけでなく、紹介したツールを上手に活用してもらえれば嬉しいです。

 

最近また体調を崩す方が増えてきています。どうぞお体に気をつけてお過ごしください。

以上、シトロンでした。