スポーツファーマシスト学習記録 |
第30回「のど飴に含まれる禁止物質」
みなさんこんにちは、スポーツファーマシストのシトロンです。
まだまだ寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
寒いと外出するのが億劫になりがちです。
私も休みの日はつい家に閉じこもってしまいます。なんだかやる気が起きない、なんてこともあります。
実はこれ、寒いことだけが原因ではないらしいのです。
冬になると今までより日照時間が短くなります。
そのせいで光を浴びる時間が少なくなり、体内時計に関与するメラトニンというホルモンが出るタイミングが遅れてしまいます。また脳内伝達物質のセロトニンも少なくなってしまいます。
セロトニンは精神安定などに作用するホルモンなので、分泌が少なくなると
「気分の落ち込み」「やる気がでない」
などに繋がる可能性があります。
対策としては
・太陽光を浴びる時間を積極的に作る
・適度な有酸素運動
が効果的です。私も早速試してみようと思います。
では今回の本題に移ります。
まだまだインフルエンザや風邪など体調に注意しなければいけない時期が続いています。
空気も乾燥しているので、のど飴を持ち歩いている方もいらっしゃるかもしれません。
実はのど飴にもアンチドーピング規則における禁止物質が含まれている場合があります。
本日は「のど飴に含まれる禁止物質」についてみなさんと共に学んでいきたいと思います。
私はいくつかのツールを使用して選手の使用薬の使用可否を確認しているのですが、その一つとして日本薬剤師会が発行している『薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック』を使用しています。
その中の注意喚起項目でものど飴は取り上げられています。
参照:2023年版 薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック
市販されているのど飴に含まれている禁止物質は何種類かありますが、今回紹介するのはヒゲナミンです。
試合の時だけでなく、常に使用が禁止される成分です。
この物質は禁止表でいうとS3.ベータ2作用薬に分類されます。
(画像引用:公益社団法人 東京都薬剤師会)
いわゆる喘息治療薬と同じ作用を持つ成分の一種で、気管支を広げる作用があります。
禁止される理由はそれだけでなく、交感神経を興奮させる作用・蛋白同化による筋肉増加作用も併せ持つためです。
ヒゲナミンは今から7年前の2017年禁止表に掲載されました。
それまでも禁止されていましたが、いくつかの栄養補助食品(サプリメント)に含まれていることが報告されたことがきっかけで明示されることになりました。
当時話題となり、JADA(日本アンチドーピング機構)からも注意喚起の文章が出されています。
参照:2017年禁止表国際基準のHigenamine(ヒゲナミン)に関する注意喚起 (公益財団法人日本アンチドーピング機構)
私も資格取得の勉強をしている最中にこのことを知りました。
調べてみたらCMで聞いたことがある商品にも禁止物質が含まれているとわかり、身近なところにもリスクがあるのだなとびっくりした記憶があります。
薬だけでなく口に入れるもの全てに気を配る、そのことを改めて実感した出来事でした。
今回の記事はこちらで以上になります。
久しぶりに禁止成分についてのお勉強をシェアさせてもらいました。
「うっかり」によるドーピングのリスクを少しでも減らすため、ぜひみなさんにも知っておいて頂きたいです。
では、また次回お会いしましょう。
以上シトロンでした。