スポーツファーマシスト学習記録 |
第32回「アンチドーピング規程違反事例」
こんにちは。
スポーツファーマシストのシトロンです。
とうとう新年度になりましたね。新たな環境がスタートした方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も新たなことにチャレンジすることになりそうで、内心ちょっとドキドキしています。
挑戦するとき、どうしても踏み出す勇気が出なくて怖くなってしまうことがあります。でもそんな時思い出す言葉があります。
それは「やる後悔よりやらない後悔の方が大きい」です。
日常のちょっとしたことでも「あれやっておけばよかったな」と思うことってあると思います。何かやって失敗した後悔よりもやらなかった後悔の方が後々引きずると個人的に感じているので、私はこの言葉を思い出して頑張るようにしています。
みなさんは新しいことに踏み出す際に勇気をもらえる言葉ってありますか?
では本題に移ります。
先日、スポーツ関係の方と食事をしていた際に
「日本ってドーピング違反少ないんだよね。よっぽどのことがないと起きないんじゃない?」
と言われました。
確かに世界的にみても日本は比較的ドーピング違反事例が少ない国と認識されています。ただ、ゼロではありません。思わぬところにリスクがあります。
今回は昨年起きたアンチドーピング規程違反事例について、みなさんと共に学んでいきたいと思います。
もしこの状況に自分がスポーツファーマシストとして関わっていたら…という視点で考えてほしいです。
2023年9月日本学生陸上競技対抗選手権大会時に起きた事例です。
ある大学に所属していたケニア留学生がドーピング検査を受けたところ、尿検体から禁止物質が検出されたことが判明しました。
参照:JADA HP
検体から検出されたのは S1 蛋白同化薬 に分類される「ナンドロロン」という物質。
ではこの物質はどのようにして選手の体内に入ったのでしょうか?
JADAの違反決定文に詳細は出ていなかったのですが、大学のHPに経緯が記載されていました。
それによると
- 2023年7月中旬〜9月前半まで強化合宿に参加するためケニアに一時帰国していた。
- 帰国後一週間後に体調不良を起こし、友人に薬局で薬の購入を依頼した。
- 受け取った市販薬の薬品名や成分を確認しないまま10日間服用した。
- 日本のスタッフには相談していなかった。
この際、購入した薬がナンドロロンの前駆体であるDecabolinという薬だったそうです。
参照:https://www.soka.ac.jp/news/2024/02/9385/
海外では筋肉増強剤として販売されているケースがあります。
報告書に記載されていることからしか推測できませんが、友人に薬を購入するよう頼み、その詳細を確認せず服用してしまったことが今回のケースを引き起こしてしまったと考えられます。
厳しいようですが、体調が悪いからといって確認を怠ってよい理由にはなりません。アスリートは自分の口に入るもの全てに責任を持つ必要があります。
近年海外の選手が日本のチームに所属することが増えてきました。と同時に日本の選手が海外で活躍する姿を目にする機会も増えました。
言語や環境が異なる中で戸惑うことも増えると思います。ただ、アンチドーピングの考え方は全世界共通です。
どんな選手が相談に来ても対応できるよう、私たちスポーツファーマシスト側も準備しなくてはいけないと感じました。
今回はここまでになります。
かなり真面目な話でしたが、いかがでしたでしょうか?
少しでも考えるきっかけになれば幸いです。
GWも近づき、かなり暖かい日が増えてきました。
体が追いつかない時もあるかと思いますが、無理をせず体調には気をつけてお過ごしください。
以上、シトロンでした。