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スポーツファーマシスト学習記録

第3回 「禁止表国際基準について」

こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。9月5日に東京2020大会の全日程が終了しました。私は本大会にボランティアとして関わっていました。初めて大会を裏側から知ることができ、こんなにもたくさんの方が協力して運営しているのかと衝撃を受けました。生涯忘れられない経験をすることができました。
今回はボランティアとしての参加でしたが、いつか選手を支える関係者の一員としてまた参加したいです。

今回で連載も3回目となりました。前回の記事では、基礎講習の内容や受講してみて印象に残ったこと(漢方薬に対する対応)について触れました。基礎講習については思ったよりお伝えしたいことが多かったので、今回の記事も続編と捉えていただければと思います。

第3回のテーマは「禁止表国際基準(以下、禁止表)」です。これは、世界アンチ・ドーピング機構が策定したもので、スポーツファーマシストはこの表を基に薬の問い合わせに対応していきます。表は①常に禁止②競技会時のみ禁止③特定の競技のみ禁止と3区分に分類されます。
これらの分類は、その禁止物質又は方法の特性によって分けられています。禁止表の詳しい内容や物質などを確認したいという方は、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のHPに公開されているので、そちらをご参照ください。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA):https://www.playtruejapan.org/

①常に禁止 無承認物質、蛋白同化物質、ペプチドホルモン・成長因子・関連物質及び模倣物質、β2作用物質、ホルモン調節薬および代謝調節薬、利尿薬および隠蔽薬
②競技会時のみ禁止 興奮薬、麻薬、カンナビノイド、糖質コルチコイド
③特定の競技のみ禁止 β遮断薬

※禁止物質のみ

禁止表をご覧になった方はお分かりかと思いますが、禁止物質や方法が100以上掲載されています。しかも、ここに記載されているのは代表例のみの場合もあり、全ての物質・方法が掲載されているわけではありません。さらに、この表は少なくとも年一回更新されます。
それぞれを説明するとだいぶ時間がかかってしまうので、今回は私がこの禁止表をどのように勉強しているかに焦点を絞ってお伝えしようと思います。

最初禁止表を見たとき、あまりのカタカナの多さに「これ全部覚えるの?」と正直思ってしまいました。最初から丸暗記するのは無茶なので、まずは3区分に分類されている薬の作用機序や禁止理由から勉強することにしました。
私は、何か新しいことを勉強するときに毎回勉強まとめノートを作成しています。大学時代から始めたのですが、続けていくうちにまとめることが楽しくなり今でも続けています。また、書くことで不思議と覚えやすくなる気がしています。今回スポーツファーマシスト関連の勉強に関してもまとめノートを作成することにしました。参考までに、そんなノートの一部を載せようと思います。

写真は、分類①β2作用物質の禁止理由について記載した部分です。私はノートを作成する時、あまりカラフルにしないことを心掛けています。なぜなら、私のノートは後から書き足すことが多いからです。
ノートをまとめた段階では知らなかったことや更新されることが往々にしてあります。その前に完成形のまとめノートを作成してしまうと、書き足しづらくなってしまうからです。今後実際自分がスポーツファーマシストとしてアスリートの相談に乗ったときには、それらの事例を付箋などでノートに貼り付けていこうかと計画中です。もしより良い勉強法をお持ちの方は、是非教えてくだされば嬉しいです。シトロンが喜びます!

以上、禁止表についてお話ししました。禁止表の内容は本来もっともっと奥深くて、それぞれ注意しないといけないポイントがあります。私もまだまだ勉強途中です。まとめノートもまだ作成途中です。このノートで禁止表を頭に入れることはできるのか……?その結果は一人前のスポーツファーマシストになれたときにお伝えします。

余談ですが、この間あるアスリートの方とお話する機会があり、その方は「ドーピングが怖いから市販薬も飲めない」とおっしゃっていました。確かに、私がアスリートだったとしても同じように思ってしまうのだろうなと思います。意図してなくても、正当な理由なく検出されてしまえば長期選手資格はく奪だけでなく、周りからの批判の目があるので競技に復帰できない選手もいると聞きます。

ドーピングは選手として絶対にしてはいけないことなのは確かです。けれど、真剣に競技へ向き合っているアスリートの不安要素を、スポーツファーマシストとして少しでも減らしてあげることができたらと改めて痛感しました。

今回もお読みいただきありがとうございました。
それでは、これからも引き続きよろしくお願いいたします。