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スポーツファーマシスト学習記録

第4回 「スポーツファーマシストが支えるアスリートって、誰?」

こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。早いもので、今年も残すところあと約2ヶ月となりました。皆さんいかがお過ごしでしょうか? 正直なところ、私は全然実感がありません…。まだ1年の半分しか経っていないのではないかと錯覚しています。

しかし、思い返してみると、学生の頃は今より1年の感覚を意識していたと思います。国家試験を控えていた時期は、尚更です。すでに薬剤師になられた方々の中にも、国家試験に向けて一生懸命勉強した記憶が鮮明に残っている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
今年度の6年生は、新型コロナウイルス感染症の影響で薬局・病院実習が短縮されたなど大変なこともあったと聞いています。応援することしかできませんが、彼らの努力が少しでも報われることを願っています。

では、本題に入りたいと思います。今回は勉強していて感じた疑問点についてお話しようと思います。私はアスリートを支えたいという想いから、スポーツファーマシスト資格取得を目指しています。おそらく多くの方が同じ想いなのではないでしょうか。

では、そもそもスポーツファーマシストが支えるアスリートとは誰なのでしょうか? オリンピック日本代表選手をイメージする方もいるかもしれません。正解は……スポーツを行っている全ての方のことです。

日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によると、アスリートは競技レベルによって国際レベル競技者・国内レベル競技者・レクリエーション競技者の3区分に分類されます。これらを順に説明していきます。

競技レベル 出場大会例 注意事項
国際レベル競技者 オリンピック ・毎日の居場所報告義務
(報告は四半期ごと)
国内レベル競技者 国体
国内最高レベルの競技会
・一部の選手は居場所報告義務あり
レクリエーション競技者 県大会 ・特に規定なし

※国内最高レベルの競技会についてはJADAのHPに競技別に記載されているので、気になる方はチェックしてみてください。https://www.playtruejapan.org/code/tue.html

簡単にそれぞれのレベルのことをまとめてみました。こんなことを言うのはどうかと思いますが、毎日の居場所を報告するなんて私だったら忘れちゃいそうだなって思います。
しかも1日1回はドーピング検査に対応できる時間(60分時間枠)を指定しなければなりません。もし居場所の提出がなかったり、指定した時間に検査に応じなかったりすると、アンチ・ドーピング規則違反となり選手資格停止になる恐れもあります。きっと自分の練習・試合の事だけでも必死なはずです。けれど、他のさまざまなことにも気を配ることができる選手こそ、真のトップアスリートなのだろうと感じました。

ここで気を付けないといけないことがあります。ドーピング検査を行う大会は事前に公表されるわけではありません。大会要項が出て初めて分かります。これはレクリエーション競技者の大会でも同様です。
例えば、今年度の全日本ベテランテニス選手権はドーピング検査の対象大会になりました。この大会は、80歳以上の部もある大会で、JADAの指定する国内最高レベルの大会ではありません。選手の中には、社会人になってから競技を始めた人もいます。実際にこの大会要項を見てみましたが、あまり詳しいことは記載されておらず、詳細に関してはJADAのHPを見るようにとの一文がありました。

出場者の中には、今までドーピング検査なんて自分には関係ないと思っていた方もいると思います。今回のことでいきなり言われても誰にどう相談していいのかわからない……そんな方がそもそもスポーツファーマシストの存在を知っているのかどうか。ドーピングに関してよく分からないまま大会に出ている方もいるのではないかと推測します。
実際私の知り合いにも、この大会に出るから急遽ドーピングについて知りたいという方がいました。アスリートというと、どうしても国際レベル競技者に目が行きがちですが、もっと身近にもスポーツファーマシストの存在を周知することが今後必要だと思いました。

「手元の薬がドーピングで禁止されてないか知りたい! けど近くに相談できる人がいない……」そんな時もあると思います。そこで利用できるのが「Global DRO JAPAN」です。
これは薬の名前・競技名などを入力すると、その薬がドーピング禁止物質に該当しているかどうかを検索できるサイトです。参考として一度検索してみることをお勧めします。
今まで指定されたことのない大会でも、可能性はある。将来もっと上を目指したいと考えているレクリエーション競技者の方々も、ドーピングの知識は持っておく必要があると思います。

アスリートは私たちの身近にたくさんいます。どんなアスリートから相談が来るかわかりません。スポーツファーマシストとして活動できる場所はきっともっとあるはずです。今回はドーピングに焦点を当てましたが、その他の面でも支えられるようになりたいと思いました。

今回の話は以上です。来月11月は、今年度スポーツファーマシスト実務講習の申し込み時期になります。前回の講習から時間が空いているので、くれぐれもお忘れにならないようご注意下さい。私も気を付けます。(←なぜこの文章を書いたかは、初回の記事をご覧ください)

気温差が大きい時期ですので、体調には留意してお過ごしください。
では次回もよろしくお願いします。