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- オータム@薬剤師メモ2さん(ブロガー・クリエイター)
- 日々クリニカルクエスチョンを探してさまよっている、感染制御チーム所属の病院薬剤師。文章を書いたり、本を読んだり、映画を観たり、ゲームをしたり、いろいろ創作したりすることが好き。
- 薬剤師メモ2
- MEDIBATE(共同運営ブログ)
- 薬学っぽいイラスト
- :@pharmamemo(2021年9月現在9,228フォロワー)
メリハリをつけて、効率良く働く病院薬剤師。
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まずはプロフィールと簡単にご経歴を教えてください。
関西の大学へ進学し、卒業後は地元の北海道に戻り病院で勤務しています。大学時代は感染制御の研究室に所属して、薬剤耐性菌の研究などをしていました。その研究内容を是非とも実際の医療現場で活かしたいと考えたのがきっかけで病院へ就職し、現在に至ります。薬剤師7年目です。一度転職を経験していますが、前職も病院勤務でした。
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病院で働くことの魅力を教えてください。
いろいろありますが、他の職種と距離が近いところが一つの魅力ポイントでしょうか。現在は中小規模の病院に勤務しているのですが、医師、看護師、放射線技師、検査技師、栄養士、事務職員……働くスタッフほぼ全員の顔と名前が一致しています。同じ事柄でも職種によって考え方がけっこう違っていて、意見交換することで視野が広がるので楽しいですね。連携して仕事がうまくできたり、自分の提案した薬で患者さんの状態が改善したりするのは嬉しいですし、自分が勉強して身に着けた知識が臨床で役立つことも嬉しい瞬間です。
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日頃の仕事で心掛けていることはありますか?
プライベートでは周囲の意見に流されてしまうことが多いのですが、仕事では薬の専門家として、おかしなことはおかしいとしっかりと意見しようと心掛けています。
また、ちょっと不真面目な感じに聞こえてしまうかもしれませんが、定時で帰ることを意識しています。以前勤めていた病院では、残業している人が頑張っていて、そうではない人はあまり頑張っていないと思われていたのですがそれに納得がいかなくて。物理的に仕事量が多いなら仕方ないかもしれませんが、同じ仕事量ならば効率よく働いて定時で帰れるほうが評価されるべきではないかとずっと思っていました。定時で帰ることで勉強して医療情報をアップデートしたりブログを書いたりできるので良いことづくしですし、生活にメリハリも生まれます。
自己学習のアウトプットの場「薬剤師メモ2」が思いがけず人気に。
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ブログ「薬剤師メモ2」を始められたきっかけを教えてください。
世のため人のため……と言いたいところですが、もともとは自分の勉強・学習のアウトプットの場としてブログを使いだしたのがきっかけです。
新卒で入った前の職場がそれなりの規模の病院だったのですが、日々大量の処方せんを対応する中で知らない薬、知ってはいるけど使い方がよくわからない薬がいっぱいで「なんだこれ??」と疑問だらけだった記憶があります。要求される知識量が膨大で、新人であっても上司や先輩からの質問に答えられなければ容赦なく叱責され、じりじりとメンタルが削られるようなブラックな環境でした。
そのため、毎日家に帰っては夜まで必死にその日に発生した疑問を調べるという日々を送っていましたね。今もそうですが、当時は常にクリニカルクエスチョンを探していました。調べたことを忘れないように記録しようと思い、薬剤師メモ2の前身となるブログを始めたのが6年ほど前のことです。ノートに書くなどオフラインでのアウトプットも考えたのですが、ブログ(オンライン)などで公開してしまえば、職場や外出先からでもいろんなデバイスで確認できますし、何より誰かの目に触れるということが、間違ったことは発信できないという記事の質を保つための緊張感につながっています。コメント欄で詳しい方から厳しいご指摘を頂くこともあったので、今もですが最初はヒヤヒヤしながら投稿していました(笑)
自分自身のためにブログを始められたのですね。総訪問者数約40万人と大勢の方に見られているということですが、率直にどのような感想ですか?
予想外でしたね、本当に自分のためだけに書いていたので。自分のために調べたことが他の人の助けになっていて、「自分が疑問に思っていることは他の人も疑問に思っているんだ」いうことが分かって安心しました。自分のための勉強が誰かの役に立つって、素敵なことですよね。そして私のブログを見た人がそれをきっかけに同じようにブログなどを始めてどんどんつながっていったりしたら、それはもうとても嬉しいなと思います。
Twitterを始めたのはもっと後です。ブログ更新の告知のために試しに始めてみたのがきっかけですが、2年ほどたった現在9,200名を超える方にフォローしていただいており、こちらにもびっくりしています。ブログやTwitterは薬剤師の他、医師や看護師などさまざまな医療従事者の方や、薬学生の方も見てくださっています。
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ブログの更新頻度について教えてください。
理想は月1~2回のペースで更新したいのですが、適当な情報を載せるわけにはいかないので、頻度はそれほど増やせられないというのが本音です。1記事の更新に、短くても1週間ほどかかっています。いろんな医学書や文献を読む下調べの時間が長くかかるうえ、それを記事にした後解説画像を入れて……と工程が多いので、どうしてもそれくらいかかってしまいます。
業務中のクリニカルクエスチョンをメモして、家に帰ってちまちま調べてネタにしていることが多いですが、たまに趣味の記事や、おすすめの医学書を紹介したりもしています。 -
特に人気の記事は?
自分が欲しいと思った情報を載せている記事の反響が大きい気がします。人気記事の1位(投与速度に注意が必要な注射薬とその理由まとめ)、2位(溶解液の量や種類に注意が必要な注射薬とその理由まとめ)は、ただ自分が業務するうえでいつでも見られるようにとまとめた記事なんです。他の上位の記事も、自分が知りたかった情報をまとめたものです。先程お話したように、自分が疑問に思ったことは他の人も疑問に思っているものだなあと感じました。
フリー素材サイト運営、共同ブログ運営、さらにはゲーム開発まで。
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イラストサイト「薬学っぽいイラスト」と、共同運営されている「MEDIBATE」についても聞かせてください。
イラストは全部自分で描いています。フリー素材サイトは数あると思うのですが、医学や、特に薬学に特化したものはあまり多くないと思いまして。かねてより「ブログで薬学的なイラストを使いたいな。もっと素材があったらいいのにな」と思っていて、ないなら自分で作ってしまおうと思いつき作成しました。某有名フリー素材サイトのように、毎日の更新を目指しています(笑)
最近になって医療系のフリー素材おすすめサイトとして紹介されることも増えました。大変ありがたく、とても嬉しく思っています。「MEDIBATE」は、私の尊敬する薬剤師の方と共同運営しています。私がブログをしていることをご存じで、一緒にやってみたいと声を掛けていただいたのがきっかけです。すごく知識が豊富で頭の切れる方で、私が力を入れているデザイン面と組み合わせたらきっと良いサイトを作れるのではないかと思って始めました。
更新内容も2人で意見を出し合って考えています。現状では文と絵を分業して作成しており、私は絵担当として記事の内容を視覚的にわかりやすくまとめたインフォグラフィックやアイキャッチ画像を作っています。
最初は市販薬を病院薬剤師の視点から解説するという構成で記事を書いていたのですが、試行錯誤の結果、紆余曲折を経て現在の実臨床で議論になった・なりそうな内容を2つの視点から討論するという構成に至りました。 -
すべてのサイト管理だけでもかなり大変では?!
そうですね(笑)いろいろ並行してやっているので。他にも実は今、ゲーム制作も行っています。
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ゲーム…? どういうゲームなのでしょうか?
「疑義照会ウォーズ」というタイトルの、一言で言うと“疑義照会を題材にした薬剤師が主人公の本格アドベンチャーゲーム”です。詳しくはまだ秘密ですが、疑義照会をしていくことで世界の闇を打ち砕く……! みたいな感じのストーリーです。異世界が舞台で、“とある理由”があって仕方なく間違っている処方せんばかりが発生しているという感じの設定です。
昨年7月に、薬剤師向けのゲームとして私が想像して作ったサンプル画像をツイートしたところ予想外にバズり、それを見たプログラミングのできる薬剤師の方から実際にゲームを作りませんか?とお声が掛かったのが制作のきっかけです。他の制作メンバーもTwitterで集まり、結果このプロジェクトに関わる薬剤師は15~16名ほどになっています。画像を作ったきっかけは、ネット上で「薬剤師はただ医師の処方せん通りに棚から薬を出しているだけ」と書かれているのを見て、すごく悲しくなったことでした。
そんなわけはないのですが、考えてみると、医師や看護師の仕事はドラマや漫画などがたくさんあって誰でも仕事内容をイメージできますが、薬剤師はほとんどそういったものがないので、世間のイメージとしては確かに「薬局で処方せんを渡したら薬を持ってくる人」だと思われても仕方がないのかなあとも思いました。
そのため、もちろん薬剤師が日々の仕事において存在感を今まで以上に発揮していくことが第一だとは思いますが、別方面からのアプローチとして、例えば最近ドラマ化したアンサングシンデレラに続いて、そういった薬剤師を取り上げた作品がもっとたくさんあれば、薬剤師がどういった仕事をしているのかが世間に伝わるのではないかとずっと思っていました。私のツイートの内容(疑義照会)がもとになっていますが、デザインなどはいろいろと変えていっています。今のところ、一旦PC版のアプリで配信して、反響があればスマートフォン用にも配信したいという話になっています。意外と医療従事者以外の方からの反響もあるので、医療従事者もそうでない方も楽しめるような難易度調整をしようとしているのですが……けっこう難しくて心の中で泣いています(笑)
リリースは今年の8月頃を予定していたのですが、押していますね。ですが、もうそろそろ完成間近な感じです。それもあって、最近はブログの更新頻度が下がってしまっています。 -
開発中のゲームの一部 ※実際にリリースされるものと異なる可能性があります。
試行錯誤しながら、楽しみながら情報発信。
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情報発信される際のポリシーはありますか?
適当な情報を発信しないこと、ユーモアの心を持つこと、新しいことを追い求めることは常に意識しています。私自身、読んでいてふっと笑えるような記事が好きなので、自分もそんな記事を書くことを目指しています。それらを踏まえたうえで“わかりやすく説明する”ということを目指しています。人気のあるアカウントを研究していても、皆さんもれなくわかりやすい情報発信をされていると感じます。
あと、「人と違うことをする」ということは常に意識しています。私は情報の質に加えてデザイン面にも力を入れていて、現段階では「薬学×デザインで視覚的にわかりやすく!」を意識して発信しているのは、支持していただけているポイントの一つだと思います。現段階と言いましたが、日々いろいろ試行錯誤して、投稿の反応を見て徐々に内容を変えていっています。デザインは本を読んだり他の人のデザインを参考にしたりして独学で勉強していますが、奥が深くて学ぶことが多いですね。
第1回のNorikoさんも仰っていましたが、情報発信は実験で、トライアンドエラーの繰り返しだとつくづく思います。今後の各サイトの展望を教えてください。
薬剤師メモ2は、「薬剤師のブログといえばここ!」「ここを見たら疑問が解決するよね」と思ってもらえるようになること、MEDIBATEは、あわよくば投稿の内容が出版社の方の目に止まって書籍化することがひそかな野望です。薬学っぽいイラストは、薬学素材界のい●すとやのような存在になれたら嬉しいですね!
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最後に、読者の方へ一言お願いします。
ブログは楽しいので、少しでも興味のある方はぜひやってみましょう! ブログではなくても、SNSなどで情報発信することは楽しく意義のあることだと思います。
どこかで、インプットとアウトプットの理想の割合は3:7だと聞いたことがあります。特に新人さんで勉強したい方は、勉強用のアカウントを持つことで仕事中も発信ネタやクリニカルクエスチョンを探すためアンテナを張りながら仕事をするようになるので、結果的にそうでない場合と比べて知識の増えるスピードはかなり早くなるのではないでしょうか。
ぜひ、私のブログやサイトにも遊びに来てください。
当社が運営する薬剤師専門の転職サイト『ファーネットキャリア』でも、さまざまに活躍される薬剤師(薬学生)様の転職成功事例などを多数ご紹介しています。