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薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ

第16回「漢方処方量ランキング①」

漢方についてまとめてほしいとリクエストをいただいたことがあったのですが、なんといっても数が膨大なので処方量が多い漢方に絞ってまとめることにしました。

厚生労働省が公開している第6回NDBオープンデータ(平成31年4月〜令和2年3月の集計)の外来(院外)処方量を参考にベスト10をまとめ、今回はそのうちの1位から5位のものについてです!

 

①ツムラ大建中湯エキス顆粒

冷えに伴う腹痛や膨満感を温めて治す漢方です。よく処方されるうえに、常用量が成人で1日15g(6包)のため処方のグラム数として1位になるのも納得です。腸の血流を良くして動きを活発にするので、冷えて動きが悪くなったことによる便秘や術後イレウスなどに使用されます。

②ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒

古くから使われている漢方で、筋肉の痙攣により急激に起こる痛みに効果的です。こむら返りの第一選択薬とされ、服用してから5〜10分で効果が現れます。こむら返り以外にも急性の腰痛、胃痛、腹痛、月経痛などにも使用されます。芍薬と甘草だけのシンプルな構成で、常用量で服用すると甘草を1日6.0g摂取することになるため、常用量での長期服用は避けることが望ましいです。

③ツムラ抑肝散エキス顆粒

怒りやイライラ、不安感、興奮、不眠などの症状がある方に用いられる漢方です。「肝」が高まるとこれらの症状が出ると考えられているので、「肝」を「抑える」で抑肝散と名付けられたそうです。子供の夜泣き、癇癪のほか、認知症周辺症状での攻撃的な症状にも使用されます。

  

④ツムラ葛根湯エキス顆粒

風邪の引きはじめに用いられる漢方です。頭痛、発熱、悪寒などの症状はあるが汗はかいていないような場合に、発汗を促して熱を下げます。風邪以外でも、体を温めることで肩こりや緊張型頭痛などの症状も和らげます。なお、構成生薬のひとつである麻黄に含まれるエフェドリンは交感神経を刺激するため循環器系疾患がある患者には注意が必要です。

⑤ツムラ六君子湯エキス顆粒

体力が中程度以下で食欲不振や胃もたれなどの胃腸の不調がある方に用いられる漢方です。胃の中の水の停滞を改善させる生薬に加え、消化機能を高める生薬が配合されています。また、機能性ディスペプシアの治療に対してエビデンスレベルAとなっています。

 

次回、6〜10位に続きます!