薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ |
第17回「漢方処方量ランキング②」
前回に引き続き、漢方のまとめです。厚生労働省が公開している第6回NDBオープンデータ(平成31年4月〜令和2年3月の集計)の外来(院外)処方量を参考にベスト10をまとめ、今回はそのうちの6位から10位のものについてです!
⑥ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒
腰から下にかけての痺れや痛み、浮腫や排尿障害など加齢に伴うような症状に用いられる漢方です。特に疲れやすくて、手足が冷えやすい方におすすめです。水分代謝を良くする八味地黄丸に牛膝と車前子を加えた構成となっています。山薬を含むため、山芋アレルギーがある患者には注意が必要です。
⑦ツムラ五苓散エキス顆粒
余分な水を体の外へ出し、水の滞りを改善する漢方です。個人的には二日酔いに使うイメージが1番強い薬ですが、頭痛やめまい、浮腫、急性胃腸炎、嘔吐などさまざまな症状に用いられます。比較的即効性があり、頭痛や倦怠感に対しては2時間ほどで効果が現れたという報告があります(小林製薬 テイラックに関するQ&Aより)。
⑧ ツムラ補中益気湯エキス顆粒
胃腸の消化や吸収といった働きを良くし、元気を補う漢方で3大補剤の1つです。胃腸の弱い方の食欲不振や夏バテ、風邪、他にも病後や産後で体力が落ちているときに用いられます。
⑨ツムラ麦門冬湯エキス顆粒
古くから咳に使われる漢方です。口や喉が乾燥して、痰があまり出ないような乾いた咳が続くときや、切れにくい痰のある咳、空咳に向いています。のぼせ気味で、咳き込んで顔が赤くなることも使用の目安となっています。逆に、色の濃い痰が出るような湿った咳には向いていません。
➉ウチダの八味丸M
1位から9位までツムラの漢方が続いていましたが、ここでウチダ(販売元:クラシエ)の漢方がランクインしました。八味丸(八味地黄丸)は足腰の痛み・痺れや頻尿に使われる漢方です。先程6位で出てきた牛車腎気丸と似ている効能です。山薬を含むため、山芋アレルギーがある患者には注意が必要です。さらに、牡丹皮による流早産の危険や附子の副作用が現れやすくなることから妊婦は服用しないことが望ましいです。
前回、今回で合わせて10個の漢方の特徴についてまとめました。自分の店舗ではほとんど処方されない薬だったとしても、処方量が多いということは、それだけ併用されやすい薬となるのでしっかり把握しておきたいですね!