薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ |
第39回「ビスホスホネート製剤の注意点や飲み忘れ対応確認」
骨粗鬆症に用いられるビスホスホネート(BP)製剤は一般的な用法の薬と比べると、注意点も多いですよね。
そこで、剤形や飲み忘れ時の対応方法についてまとめました。
■BP製剤の規格
骨粗鬆症への適応を持つBP製剤には
・毎日服用するもの
・週1回服用するもの
・月1回(4週間に1回)服用・注射するもの
・年1回注射するもの
など様々なものがあり、規格ごとに用法が異なります。
表にまとめたのでご覧ください。
エチドロン酸は2週間服用して10〜12週間休薬するという周期的間欠投与をします。
また、アレンドロン酸にはゼリー剤もあるのも特徴ですね。
■BP製剤服用時の注意点
・起床時(最初の飲食前)に服用する
BP製剤は消化管からの吸収率が低く、食事によりさらに吸収が低下してしまうため、胃の中が空になっている起床時に服用します。
ただし、エチドロン酸のみ食間に服用します。
・多めのお水(約180mL)で噛まずに服用する
食道などに停留すると局所の副作用のリスクとなります。速やかに胃に到達させるために多めのお水で服用する必要があります。
このとき、CaやMgを豊富に含むミネラルウォーターや硬水で服用するとキレートを形成してしまうので避けましょう。また、口内で噛み砕くと刺激感が現れる場合があるので、噛み砕いたり溶かしたりせずに飲み込みます。
・服用後すぐに横にならず、水以外の飲食は避ける
理由は上記と同様です。この時間が薬によって異なるので注意が必要です。
アレンドロン酸・ミノドロン酸・リセドロン酸:30分以上
イバンドロン酸:60分以上
また、エチドロン酸は服用後の体位の制限がないものの、前後2時間は食事を摂らないようにしなければなりません。
・歯科治療時はBP製剤を服用中であることを医師に伝える
抜歯等の侵襲的な歯科処置に関連して顎骨壊死や顎骨骨髄炎が現れることがあります。
日頃から口腔内を清潔に保つようにし、治療が必要な場合は歯科医に服用中である旨を伝えるよう指導します。
■飲み忘れた時はどうする?
飲み忘れに気がついたとき、起きてから水以外を摂取していない状態であれば、その時点で服用可能です。
毎日服用する製剤の場合
朝食後以降に気がついた場合は、その日は服用せず翌日の起床時に服用します。同じ日に2錠同時に服用してはいけません。そのため、忘れた日の分はスキップすることになります。
週1回製剤の場合
気がついた翌日に服用した後は元の予定通りに服用します。2日続けての服用になってしまってもOKです。
月1回製剤の場合
ミノドロン酸とリセドロン酸は次回分は予定通りに服用しますが、イバンドロン酸は飲み忘れに気がついて服用した日から1ヶ月あけて服用します。
また、飲み忘れに気がつくまでに時間がかかってしまうことも考えられます。
リセドロン酸:次回服用まで7日間以内になってしまっていた場合は飲み忘れ分をスキップして次回から服用します。
ミノドロン酸:投与間隔が4週±7日間の時の有効性・安全性が確認されているため、1週間以上はずれないことが望ましいです。
■参考
各添付文書
鹿児島市医報 第54巻第6号 経口ビスホスホネート製剤の分類と留意事項について