スポーツファーマシスト学習記録 |
第8回「禁止表の内容の変更点」
こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。寒い時期が続いていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私は相変わらずバタバタしながらも元気に過ごしています。年末に大掃除が終わらなかったので、なんとかこの間終わらせたところです。
その掃除中に高校数学の問題集を見つけたので、久々に解いてみました。順列・組み合わせ、接弦定理、チェバ・メネラウスなど懐かしい単語が出てきたのですが、内容は正直あまり覚えていませんでした。私は小学生の頃から数学が大の苦手で、高校でもその意識は抜けることはありませんでした。理科もどちらかというと苦手だったので、進路相談するたび先生から「あなたは文系の学部を選んだ方がいいと思う」と言われました。理系を選んだのは、きっと思春期の反抗心もあったのだと思います。
2月は多くの大学で受験本番を迎えます。受験生の皆さまが今まで準備してきた知識を存分に発揮できることを、心より祈っております。ちなみに、テストではいつも以上に頭を使うので脳がエネルギー不足になってしまうことがあります。そのため休憩中にラムネなどブドウ糖を含んだお菓子食べるのが良いとされていますので、是非試してみてください。
前置きが長くなりました。本題に入ります。前回は実際に実務講習を受講した感想をお伝えしました。今回はそれを踏まえて、2021→2022で変更された禁止表の内容について説明していこうと思います。変更点は大きく分類すると2点です。
1つ目はβ2作用薬です。この薬は主に気管支喘息の治療に用いられ、狭くなっている気道を広げてあげる薬です。錠剤だけでなく貼り薬やシロップ、吸入薬などさまざまな種類があるのですが、今回の改正では吸入薬(サルブタモール)の用量規定が少し細かくなりました。
ご存知かもしれませんが、薬は添付文書、いわゆる説明書によって最大用量や使用方法が決まっています。各国で使える薬が異なるのと同様に、この添付文書も各国によってさまざまです。今年変更された箇所は日本で添付文書通りに使用されている場合は原則問題無いため、詳細は省かせていただきます。
ただ、β2作用薬に関しては、もう一点注意があります。それはネプライザーを使用している場合です。実際に使用経験のない方にはあまりピンとこないかもしれませんが、ネプライザーとは液状の薬を細かい霧状に変換する器具のことです。イメージとしては、冬によく使われる加湿器が近いでしょうか。霧状にすることにより、治療ターゲットである気管支や肺まで薬を届けやすくなります。しかしその一方で、通常の吸入器より吸収効率が良いため、規定されている体内検出量を超えてしまう恐れがあります。なので、今年からネプライザーを使用する場合は以前ご紹介したTUE申請を行う必要があります。
ちなみに最近は医療機器だけでなく、声優やアナウンサーなど声を職業にする方が喉の乾燥対策のために用いるものも販売されているそうです。これは等張食塩水を吸入するもので治療用では無いですが、もしどのような器具なのか興味のある方は試してみても良いかもしれません。
2点目は糖質コルチコイドです。ここは今年の改正の目玉といっても良いかもしれません。
今まで「静脈内使用・経口使用・筋肉内注射・経直腸使用」が禁止されていましたが、今年から「全ての注射、経口使用(口腔粘膜(口腔内(頬)、歯肉内、舌下等)を含む)」に改正されました。これだけ聞いてもあまりイメージが湧かない方がほとんどだと思います。私が一番注目してほしいポイントはカッコ内の文章です。口腔粘膜に使用するって主にどんな時でしょうか?
正解は……口内炎です。寝不足やストレスで生じるアフタ性口内炎、間違えて口の中を噛んでしまうなど物理的刺激によって生じるカタル性口内炎など、その原因は私たちの日常生活にも多く潜んでいます。口内炎の薬はドラッグストアにも置いてありますし、実際私も使用したことがあります。
注意してほしいのはここです! 実はこの市販されている口内炎治療薬の中に、ドーピング違反になってしまう薬が紛れ込んでいます。「ノンステロイドタイプ」と記載がない場合、特に注意しないといけません。
購入したい場合は身近なスポーツファーマシストに相談するのが一番確実ですが、DINXなどのアプリでバーコードを読み取る方法やglobal DROで検索するというやり方もあります。ステロイドは試合期間中に使用してはいけない薬として禁止表に掲載されています。口内炎の市販薬は結構身近なところにあるため、個人的に結構注意喚起しないといけないポイントだと思っています。
以上、今年の変更点についてご紹介しました。細かい数値や成分名についてはここで記載すると難しい話になってしまうので、今回は省かせていただきます。詳細を知りたい方は、JADAのHPもしくはスポーツファーマシストにご確認ください。
それでは、今月はこの辺りで。
まだまだ寒い時期が続きます。皆さま体調にはくれぐれもお気をつけください。