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スポーツファーマシスト学習記録

第9回「花粉シーズン。点鼻薬がドーピングに!?」

こんにちは。新米薬剤師のシトロンです。皆様いかがお過ごしでしょうか。

季節はすっかり春ですね。気温も少しずつ暖かくなり、お花見など外でのレジャーを楽しみにしている方もいらっしゃるかもしれません。しかしこの時期、「花粉症」体質の方にとっては辛いですよね。2月以降徐々に症状が出始め、目のかゆみ・鼻水・くしゃみなど症状は人によってさまざまです。私はまだ花粉症ではありませんが、春にテニスをすると鼻が詰まってしまい、すごく息がしづらいときがあります(日常生活では症状が出ないので、寒暖差アレルギーの一種ではないかと思っています)。

 

では、そもそも花粉症ってどのような病気でしょうか? 花粉症の別名は季節性アレルギー性鼻炎といいます。

体内には免疫システムが存在します。花粉は体にとって敵なので、目や鼻から花粉が入ってくると、対抗するためにIgE抗体を作ります。花粉が体内に入るたびこの抗体が作られますが、IgE抗体を蓄積できる量にも限りがあります。その限界値を超えるとさまざまな症状が出てしまいます。

日本では4人に1人が花粉症であるといわれています。今までは30・40歳代での発症が多かったのですが、最近その発症年齢がどんどん若年化しています。その一因として、自動車の排気ガスなどによる大気汚染の影響があります。大気汚染の影響により鼻の粘膜の感受性が高まり、花粉症になりやすくなってしまうのだそうです。

街のドラックストアでも多くの花粉症治療薬が販売されています。錠剤だけでなく、点鼻薬や目薬などタイプもいろいろです。それだけ薬が必要な人が多いということだと思います。

基本的に抗アレルギー薬に分類される薬はドーピング違反対象外です。ただし、市販薬の中には禁止物質である「プソイドエフェドリン」が含まれているものがあります。この物質は大会期間中の使用が禁止されていますが、普段から注意して確認する必要があります。

また点鼻薬にも注意が必要です。点鼻薬の一部には鼻の炎症を止めるため「糖質ステロイド」が配合されているものがあります。点鼻薬として使用していれば問題ないのですが、物質自体は禁止物質としてリストアップされている成分です。

使用したことがある方なら経験があると思いますが、点鼻した後薬が鼻を通って喉まで届いてしまい、口の中が苦く感じたことはないでしょうか? この場合体内に成分が吸収されるため、検査のときに検出されてしまう恐れがあります。可能性としては低いと思いますが、こんな状況が起きないとも限りません。

対処法としては、点鼻薬として使用したことを証明するため、Global DROやDINXで検索した履歴やメモなどを証拠として残しておくことが重要です。

 

なんて話をしているうちに1,000字を超えてしまいました。日常生活の話題から派生して、気づいたらドーピングの話になっていました。やはり勉強する前と後を比べてみると、自分自身の意識がだいぶ変化したと実感します。

今までドラックストアへ行ってもあまり気にしたことがなかったけれど、スポーツファーマシスト資格取得のために勉強し始めてから、必ず購入する薬の裏面を見るようになりました。横に並んでいる薬と比較して違いを確認し、時にドーピングに該当する物質を含む薬を発見するなど、実際に自分で確認することで知識が深まっていきました。

まだまだ知らないことや理解が足りないこともあるとは思いますが、一つずつ経験しながら学んでいきたいと思います。

 

今月号はいつもとテイストが違うなと気づいた方、さすがです。なぜこんなことを書いたのか、というと今月号を持って「プレスポーツファーマシスト学習記録」は一旦区切りとなるからです。これまで全9回にわたり資格を取るために私が行ってきた勉強や、その過程で考えたことなどを、思うままに書いてきました。

来月からはとうとうスポーツファーマシストとして、活動を始めます。それに伴い、このweb記事もリニューアルします。今後は活動中の出来事やスポーツファーマシストの実態など色々な内容を取り上げていきたいと思います。また、せっかくなので、インスタで紹介しているアスリート食についても触れる機会を作ろうと考えています。

 

私は、スポーツの世界に関わりたくてこの資格を取得しました。正直なところ資格を取得したからといってアスリートと一緒に仕事ができると保証されたわけではありません。スポーツの世界ではまだスポーツファーマシストの認知度は低いですし、関わっている方もほんの一部です。だから、私は今年からあることに挑戦します。その内容については、いつかきちんと成果が出たらこの場でご報告したいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後とも是非よろしくお願いします! 以上、シトロンでした。