スポーツファーマシスト学習記録 |
第20回「選手から痛み止め薬の相談。どうアドバイスする?」
こんにちは。スポーツファーマシストのシトロンです。
GWが近づき、少しずつ暖かくなってきましたね。今シーズンはアウトドアの予定を立てている人も多いのではないでしょうか?
そんな皆さまに注意していただきたいのが「熱中症」です。
何となく夏に起こるイメージがありますが、総務省の発表によると去年(令和4年)5月には全国で2,668人の人が熱中症で救急搬送されました。気温が高くなり、体が汗をかくことに慣れていないことが一因だと言われています。
日頃からウォーキングなどの運動や入浴等で発汗する習慣があれば、熱中症にもかかりづらくなります。暑さがピークにならない今のうちから徐々に対策していきましょう。
それでは本題へ。テーマは「痛み止め」です。
処方薬のみならずOTCでもたくさんの種類が販売されています。
多くの商品が販売されており、どの薬がいいのか迷うという声が薬剤師の同僚からもちらほら。私も実際「痛み止め、どれがいいかな」と相談されたとき、いろいろ考えすぎて30分以上悩んだ経験が……。そこで、今回は例を用いて皆さんと共に考えていきたいと思います。
対象者:20代女性
主訴:生理痛がつらい
服用歴:アセトアミノフェン(あまり効果がないので別の薬を希望)
対象者は国内遠征中であり、OTC医薬品で対応することになりました。さぁ、あなたならどのようにアドバイスするでしょうか?
いろいろな答え方があるので、正解は一つではないです。ここではシトロンだったら……という視点で回答させてもらいます。
「私だったらこうする!」という案があれば是非InstagramのDMなどで共有していただけると嬉しいです。
今回取り上げるポイントは主に4点です。
①アセトアミノフェン以外で使用したことがある薬を聞き取る
②商品名をしっかり文章に残る形で(なるべく)何種類か伝える
③薬剤アレルギーを確認する
④服用後のフォローアップをする
実は他にもあるのですが長くなってしまうので、今回は上記の点について私なりの考え方を簡単にご紹介しようと思います。
①アセトアミノフェン以外で使用中の薬を聞き取る
今回は成分名を伝えてくれていますが、実際は商品名を言われることが多いです。なので、商品名から成分を確認し、薬の詳細を把握するようにしています。
もし以前使用していたパッケージがあれば写真を送ってもらうのも一つのやり方です。また痛み止めは整形外科などから処方が出ている場合があるので、重複しないように気をつけましょう。
②商品名をしっかり文章に残る形で(なるべく)何種類か伝える
OTC医薬品の商品名は同じメーカーから似たような名前の薬が発売されている場合があります。選手によっては「ロキソニンなら大丈夫なんでしょ?」と話してくることもありますが、最近市販のロキソニンで生薬成分が配合されている商品が発売になりました。購入する際選手が間違えないように、LINE などを使用し文章に残る形で伝えましょう。
またこれは私の経験もあるのですが、遠征先によってはドラックストアや薬局に置いてある商品が限られている場合があります。せっかく紹介しても無い場合があるので、念のため数種類伝えるようにしています。
③薬剤アレルギー・副作用歴を確認する
この確認は普段も行っていることだと思いますが、相談を受けた際には忘れず行ってください。痛み止めで気をつけなければいけない副作用と言えば「アスピリン喘息」です。
市販薬でも同様の注意が必要なので、突然の相談でも慌てずに確認するようにしましょう。
④服用後のフォローアップをする
私は指導後問題なく服用できているか、NRS(Numerical Rating Scale)の変化はあったかなどフォローアップするようにしています。選手は痛みがあるという不安感を抱えているので、少しでも寄り添えたらと思って始めました。
また今回のケースのように遠征に生理が被ってしまう場合、生理痛が影響して選手のパフォーマンスに支障をきたすこともあります。婦人科では生理周期の調節や生理痛の痛みを相談することができます。少しでも不安要素を無くすため、婦人科への受診をおすすめします。
選手によって立場や状況が大きく異なり、私もまだまだ対応しきれない部分があります。なので、その都度勉強しながら頑張っています。
この記事が皆さまにとって少しでも参考になれば嬉しいです。
というわけで今月はこれで終わります。いかがでしたでしょうか?
気温差が大きい時期になってきました。体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。
以上、シトロンでした。