スポーツファーマシスト学習記録 |
第31回「スポーツファーマシストの実情」
こんにちは。スポーツファーマシストのシトロンです。
季節がだんだん春らしくなってきました。みなさんいかがお過ごしですか?
突然ですが、春といえば何を思い浮かべますか?
桜・卒業式・ひなまつり…色々あると思います。この間私の友達に同じ質問をしたら「花粉症」と答えていました。確かに今年も症状がかなり出ている方が多いです。
少し前のデータですが、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の調査によると令和元年時点で花粉症にかかっている人は人口の42.5%。現在も増え続けていると予想されています。
人口の半数近くが罹っていると考えるとなかなかの数字ですよね。
これはアスリートも例外ではありません。外で練習する競技だと、この時期特につらくなることが予想されるでしょう。そんな時も身近なスポーツファーマシストに相談できる環境を整えて、もっと競技に集中できるアスリートが増えてほしいなと思っています。
では今回の話題に移ります。
今回はスポーツファーマシストに関する研究で興味深い論文をピックアップしようと思います。
Activities and Challenges of Sports Pharmacist: A Questionnaire Survey
(YAKUGAKU ZASSHI 144巻1号P.129-136 2024/1/04)
こちらの論文は2022年7月〜12月に千葉県・岡山県・広島県・和歌山県の4県薬剤師会の協力を得て行われた、218名スポーツファーマシストの回答をもとに出されたものです。
質問事項の中でも気になったのが活動経験についての質問です。
TUE*申請の経験やアンチドーピング講義の経験などいくつかある項目の中に
「薬のドーピングリスクに関する相談を受けた経験」
というものがあります。
この調査によると
年2回以上相談を受けている人が17%
年1回もしくはそれ以下の人が46.8%
1回も経験がない人が36.2%
という結果でした。
スポーツファーマシストが選手に関わる機会が少ないというのはこれまでたくさん感じてきましたが、実際に数字で見たのは初めて。
結果を見た時、「やはりな」と正直思ってしまいました。
この論文の冒頭にもスポーツファーマシストがどの程度有効活用されているかは不明であるという記載があったので、その点を問題視している方が一定数いるのかなとも感じましたし、この問題を客観的観点から分析しているのはとても興味深いと思いました。
この調査研究は全国的に行われたわけではないので、これが全ての地域に当てはまるわけではありません。多くのスポーツ現場で活躍しているスポーツファーマシストの方を何人も知っていますし、もっと広めようと活動されている方もたくさんいます。
ただ、活躍しようと資格を取っても機会がなかったり、日頃の仕事が忙しくて対応しきれなかったり、経験がなくて自信がないという声を聞くことがあります。
スポーツファーマシストは薬剤師+専門知識を持っている集団のはずなのに、その活動に資金が出ないこともあります。
私も活動している中で難しさを感じながら仕事をしています。
けれど、選手の役に立てた時、そんなモヤモヤが吹っ飛ぶくらい嬉しさを感じられるからこそ、今もこうして続けています。
この論文結果を通じて、少しでもスポーツファーマシストの現状に目を向ける方が増えてくれたらいいなと個人的に思っています。
今回はこの辺で。
また来年度もみなさんとともにたくさん学んでいきたいです。
体調には気をつけてお過ごしください。
以上、シトロンでした!
* Therapeutic Use Exemptions=「治療使用特例」