薬に頼らない薬剤師ゆみぽが伝える 心と身体が笑顔になる栄養学 |
第15回「秋刀魚の薬膳的効能」(前半)

みなさんこんにちは!薬に頼らない薬剤師のゆみぽです。
今回は今が旬のサンマについて。
脂がのっていて、美味しいこの時期に是非!
1. 秋刀魚の特徴と性質
秋刀魚は日本の秋を代表する魚で脂がのり、香ばしい味わいが特徴です。薬膳では食材を「五性(寒・涼・平・温・熱)」と「五味(酸・苦・甘・辛・鹹)」などで分類します。
秋刀魚は「性質=平(少し温寄り)」、味は「甘味と少しの苦味」にあたります。
つまり、体を冷やしすぎず温めすぎず、バランスをとりやすい食材だと考えられています。
薬膳的に見ると、秋刀魚は以下のような働きを持っています。
- 気血を補う(エネルギーと血を養う)
- 脾胃を助ける(消化を助ける)
- 潤いを与える(乾燥を防ぐ)
- 疲労を回復する
特に「秋」という季節は乾燥や夏の疲れが残りやすい時期。
秋刀魚はまさに季節に合った薬膳食材といえます。
2. 気血を補う
東洋医学では体を動かすエネルギーを「気」、栄養や潤いを担うものを「血」といいます。秋刀魚はその両方を補う力があります。
- 鉄分やビタミンB群が豊富 → 血をつくるサポート
- DHA・EPAなどの不飽和脂肪酸 → 血の巡りをよくする
つまり、貧血気味の人、顔色が悪い人、疲れやすい人にはとても良い魚です。
薬膳的には「気血不足」によるだるさ、立ちくらみ、冷えなどに効果が期待されます。
3. 脾胃を助ける
薬膳では「食べ物の消化吸収を担う臓器」を「脾胃」と呼びます。
秋刀魚は脾胃を元気にし、食欲を高める働きがあります。秋は夏バテを引きずり、食欲不振になりがちに。
脂ののった秋刀魚は、香ばしく焼くだけで胃腸を刺激し、自然と食欲を回復させてくれます。また、良質なたんぱく質は筋肉や免疫力を支えるため、体力が落ちている時にも最適です。
4. 潤いを与える
秋は「燥邪(そうじゃ)」と呼ばれる乾燥の影響を受けやすい季節です。肌のカサつき、のどの痛み、便秘などは燥邪の典型的な症状。
秋刀魚にはDHA・EPAといった油分が豊富に含まれており、これが体を内側から潤します。
- 肌や粘膜の乾燥を防ぐ
- 腸を潤して便秘を改善する
薬膳では「肺は潤いを好む」とされ、秋刀魚は肺を守る食材のひとつに数えられます。咳や喉の乾きが気になる人にもおすすめ。
5. 疲労回復
秋刀魚は「スタミナ魚」とも呼ばれるほど栄養価が高めです。
特にビタミンB12、ビタミンD、カルシウムなどが豊富で、疲労回復や骨の強化に役立ちます。
薬膳的に見ると、これは「腎」を補う働き。
腎は生命力や精気を蓄える場所であり、加齢や疲労で弱りやすい部分です。
秋刀魚を食べることで、腎を補い体力を回復させるサポートになります。
6. 秋刀魚と相性の良い食材
薬膳では、単品で食べるより「組み合わせ」で効能を高めます。秋刀魚と相性のよい食材を紹介します。
- 大根おろし
→ 脂の消化を助け、胃もたれを防ぐ。咳止めや喉の炎症にも効果的。 - すだち・かぼす・レモン
→ 酸味で消化を促し、体の熱をやわらげる。乾燥した喉を潤す。 - 生姜
→ 体を温め、血行をよくする。冷え性の人にはおすすめ。 - ほうれん草や小松菜
→ 血を補う働きをさらに強化。貧血気味の人に。 - きのこ類
→ 免疫力を高め、秋の風邪予防に。
このように秋刀魚は「組み合わせ次第」で、薬膳効果をぐっと高めることができます。
7. 薬膳的な注意点
どんなに体によい食材でも、食べ方によっては負担になります。秋刀魚の注意点も押さえておきましょう!
- 食べすぎは注意
脂が多いので、胃腸が弱い人が大量に食べると消化不良を起こすことがあります。 - 体に熱がこもりやすい人は控えめに
秋刀魚は少し温める性質があるため、顔が赤くなりやすい、のぼせやすい人は量を加減するとよいです。 - 焦げすぎ注意
焼き魚にする場合、焦げは「熱毒」となり、体に余分な熱をこもらせます。こんがり程度にとどめるのがおすすめ。
8. まとめ
秋刀魚は薬膳的に見て「秋にぴったりの養生食材」です。
- 気血を補い、疲れを癒す
- 脾胃を助け、食欲を回復させる
- 潤いを与え、乾燥から体を守る
- 腎を補い、生命力を支える
さらに、大根おろしやすだちと合わせることで、余分な脂を消化しやすくなり、薬膳効果も高まります。
秋の夜長に焼きたての秋刀魚を味わうことは、単なる食事ではなく「季節の養生」として体を整えることにつながるのです。
後半では薬膳レシピもご紹介します!
お楽しみにしていてください!
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