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連載:教えて!お金のあれこれ

第19回 児童手当は2024年10月からこう変わる!

木元 貴祥(きもと たかよし)氏

木元 貴祥(きもと たかよし)氏

パスメド ‒PASS MED‒ 代表 https://passmed.co.jp/

1986年生まれ
滋賀県出身日本イーライリリーのMR職、薬剤師国家試験対策予備校「薬学ゼミナール」の薬理学講師、保険調剤薬局の薬剤師を経て現在に至る。
現在はSkypeを利用した薬学生向けのオンライン家庭教師や看護師国家試験対策予備校講師業の他、下記サイトの運営を行っている。

●運営サイト

  • 新薬情報オンライン:https://passmed.co.jp/di/
    新薬の作用機序等を分かりやすく解説。月間アクセス数10万PVの人気サイト
  • メディカルタックス:https://passmed.co.jp/setsuzei/
    医療スタッフ向けの節税・資産運用について税理士・薬剤師・FPが解説
  • パスメド薬学部試験対策室:https://passmed.co.jp/pharmacy/
    無料の演習問題2000題以上。薬学生向け、試験対策サイト

●著書

  • 薬剤師国家試験のための薬単・病単・薬問・病問
  • 薬剤師になったら最初に読みたい 大学で教えてくれなかったお金の本
  •  薬の使い分けがわかる! ナースのメモ帳:
    こんなときはどれを選ぶ? 薬剤師さんと一緒に作った薬のハンドブック 
  • 新薬情報オフライン 新薬の特徴がよくわかる!              
    既存薬との比較と服薬指導のポイント

 

株式会社PASS MED(パスメド)の木元貴祥です!
ジメジメして暑くなってきましたね! 体調の変化には十分お気を付けくださいませ。


さて、第15回で紹介した「児童手当」ですが、2024年10月から新たな制度に生まれ変わります。

 

2024年9月末までの児童手当は、「所得制限」が設けられていたため、年収が高いと、手当が減額もしくは消滅していました。子育てにはお金が必要ですが、稼ぎすぎると手当が無くなるなんて、酷い話ですよね……。
しかし、2024年10月の制度改定により、所得制限が撤廃され、さらに給付年齢の引き上げも行われました!


今回は新・児童手当の制度と変更点について紹介していきます。
また、子育てに関するその他の制度も簡単に紹介していきますね。

 

児童手当とは

児童手当は、子ども・子育て支援の適切な実施を図るため、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としてします。

使い道は親に一任されていますが、子どものために使用すべきです。間違っても酒・タバコ・ギャンブルなんかには絶対に使わないようにしてくださいね。

 

概ね、制度の趣旨に沿った使い道としては、下記の一覧が挙げられます。

 

  • 貯金
  • 保育園料の補填
  • 日々の子育て日用品の購入
  • 将来の教育費として、NISAなどの長期投資や保険の積み立て(例:学資保険)

 

児童手当の改正点と支給額

2024年9月末までの児童手当は、世帯主の年収に応じて減額や消滅といった「所得制限」が設けられていました…。

しかし、前回(第18回)でご紹介した通り、「こども大綱」によって児童手当の拡充が明記され、2024年10月から「所得制限の撤廃」、「対象年齢の引き上げ(中学生→高校生)」「第3子の支給額増額」といった変更が行われます。具体的な新旧の変更点は下記表のとおりです。


せっかく子どものために年収を上げて稼いでも、所得制限によって手当が消滅してしまうこともありました。改正後は所得制限がなくなるため、年収による差はなくなりますね。


また、支給対象年齢も引き上げられ、これまで中学校修了までであったのが、高校修了までに変更されます。3年間の引き上げは大きいですね!

 

さらに、第3子の児童手当が大幅に引き上げられます。これまでは月額15,000円もしくは10,000円でしたが、月額30,000円に引き上げられます!少子化対策の本気度を感じる制度改正だと思いました。

 

ただし、児童手当の拡充に伴って、扶養控除(第16回参照)の縮小(現行38万円ですが、25万円に引き下げ予定)も検討されているため、動向は要チェックですよ。

 

自治体独自の給付も要チェック

自治体によっては、独自の上乗せ支給を行っていることもあります。
たとえば、東京都では「018サポート」として、0歳から18歳までの子ども1人あたり、月に5,000円を所得制限なしで支給しています。

*参考 東京都福祉局:子供家庭>子育て支援>018サポート

 

お住まいの自治体の制度は必ず確認しておきたいですね!

 

児童扶養手当・特別児童扶養手当

その他にも子育て関連手当として、

ひとり親世帯を対象とした児童扶養手当(児童1人で全部支給対象の場合、月45,500円)

精神・身体に障害を有する児童を対象とした特別児童扶養手当(1級障害の場合,月55,350円)

などがあります。

 

いずれも扶養親族数や所得制限がありますので、お住まいの自治体に問い合わせるようにしましょう。


なお、児童扶養手当については、2025年1月から所得制限の緩和や第3子以降の加算の拡充が予定されています。

 

まとめ

今回は2024年10月から開始される児童手当について、概要や変更点について解説しました。また、関連する制度についても簡単に紹介しました。以下、今回のまとめです。

 

  • 所得制限が撤廃される
  • 対象年齢が引き上げられる(中学生→高校生)
  • 第3子の支給額が増額される(月30,000円に増額)
  • 自治体独自の制度(例:東京都の018サポート)も要チェック
  • ひとり親世帯を対象とした児童扶養手当や、精神・身体に障害を有する児童を対象とした特別児童扶養手当もある

 

子どもが産まれるとどうしても出費が多くなり、教育資金や貯蓄も心配になると思います。そんな時、非常に助けになるのが児童手当です。

 

今後は所得制限が撤廃されるため、年収を気にすることなく稼いでも児童手当が満額貰える予定です。ただし、永続的には続かないと思います。

 

今後、制度がさらに改正される可能性もあります。メディカルタックスでは、常に最新の情報に更新していきますので、ぜひご覧いただけますと嬉しく思います。