今月のPickUpファーマシスト |
第12回 ヒロザルさん(インスタグラマー)
今月のPickUpファーマシスト
さまざまに活動、活躍されている薬剤師&薬学生の方のインタビューをたっぷりお届けします!
ヒロザルさん(インスタグラマー)
薬の勉強がしたい医療従事者、ちょっと人より詳しくなりたい薬剤師、自分の飲んでる薬が気になる方……そんな方の疑問を解決する情報を九州から発信中。試行錯誤のInstagramは1年半でフォロワー2.5万人を達成。
お話好きの薬剤師、SNSで広がった働き方。
―まずは、薬剤師になろうと思われたきっかけを教えてください。
小さい頃は病気がちで、喘息などで1年に1回くらいの頻度で入院していました。なので病院は身近な存在で、漠然と医療系の仕事に憧れを持っていました。そして医者か薬剤師になろうと考えて、ストレートで合格した薬学部へ進学しました。
―その後から現在までの経歴について、教えてください。
ちょっとレアケースかもしれないのですが、もともと九州の大学に通っていましたが、諸般の事情で中退してしまいました。1~2年くらいフリーターをしていたところ、大学で良くしてくださっていた教授が、もったいないからということで奨学金返済支援をしている企業を探してくれたんです。それが現在勤めている薬局です。会社に奨学金の援助をしてもらい、広島の大学の薬学部へ4年から編入学し卒業しました。現在は転勤で九州に戻って来ており、主に精神科と内科を応需している薬局で一人薬剤師として勤務しています。
―知らない土地で一人薬剤師、大変ではないですか?
出身ということもあって九州の土地は好きですし、患者の皆さまも優しくて良くしてくださるので、今のところ大変だと感じることはないですね。田舎ならではの距離の近さも心地良くて、おしゃべり好きな自分に合っていると思います(笑)
―いざご自身が憧れの医療従事者になってみて、いかがですか?
薬剤師として働き出して、自分に合っている仕事だと感じています。今は一人薬剤師なので、僕が必ず患者さん一人ひとりとお話します。その患者さんの普段の生活のことなども知れることが楽しく、近い距離感で接することができるのは嬉しいですね。医療系の仕事の中でも、人とコミュニケーションが取れる職業で良かったなと思います。
―SNSにも注力されていると伺いました。始められた経緯などについて教えてください。
奨学金を多く借りていることもあり、副収入で少しでも実入りを増やして返済スピードを上げたいと思ったことがきっかけで約1年半前にブログを始めました。ところがあまりPVが伸びず、伸ばすためにSNSからブログへ流入できないかと考えたことからTwitterやInstagramを始めたという感じです。
その中でInstagramが一番自分に合っていると感じて、現在はそちらをメインに更新しています。始めて1年少しくらいです。開設したときにはすでに大活躍の薬剤師インフルエンサーの方が複数いらっしゃったので、そこに割り込んでいくのにけっこう苦労しました。投稿内容も、薬剤師同士で似てきてしまいます。「このアカウントだけ見たらいいや」となってしまいますし、そもそも薬の情報ってあまりエンタメ性がないので、見る人もほぼ医療従事者です。母数が少ない中でどうやって伸ばしていこう? というところに頭を使いました。いろいろと試行錯誤をしましたが、それも楽しかったですね。
―その試行錯誤について、教えてください!
“ヒロザルのアカウントじゃないと”という特徴やメリットがなければいけないと思いました。最初は漠然と薬局薬剤師として投稿を始めましたが、よりニッチに精神科に特化した情報を発信することで差別化を図りました。徐々に見てくださる方が増えたので、さらに分析ツールを駆使したりYouTubeなどにあがっているハウツー情報もたくさん参考にしながらトライ&エラーを重ねました。
また、きちんと役に立つ内容を届けたいので、画像を作りながら内容を考えるのではなく、事前にネタをまとめています。ネタを考える、調べる、画像の枠組みを作る……と工程を分けることで効率も上がりました。
ブログは、読んでもらえたとしても相互のコミュニケーションがSNSほどはありませんよね。Instagramだとコメントでけっこう返してくださるんです。自分の投稿が役に立っているかどうかの反応が、コメントやいいね数、記事の保存数でわかりやすいです。それが自分に合っていると思いました。フォロワーはほぼ医療従事者の方と薬学生の方です。
つながりを活かした働き方を深めていきたい。
―必然的に医療従事者との横のつながりも増えますよね。SNSをやってよかったと思いますか?
もちろんです。田舎に住んでいるので周りにSNSをやっている人があまりいませんし、医療従事者の知り合い自体あまりいなかったのでInstagramで同じような方とつながろうと積極的にお声がけしています。今では薬剤師だけではなく、医者や看護師の方などともZOOMで直接お話する機会も増えました。
普段、医者の意見を知る機会ってあまりないのですが、DMやZOOMで半プライベートな場だと「なんでこの薬を処方しているのですか?」と気軽に聞けてしまうから不思議です。オフ感のあるお話から、一緒にこんなことやっていきましょう! という面白いお話が生まれることもけっこう多いです。この1年半で仕事の幅が大きく広がりましたね。
―この4月からInstagramのコンサルティングも始められたとのことですが、その活動についても教えてください。
自分がしてきた試行錯誤をお伝えして、誰かの発信力アップのお手伝いができたらいいなと思い始めることにしました。4月にモニターという形でSNS上で募集をかけさせていただきました。ごく少数の定員ではありますが、はるかに超える数の方からの応募があって驚きました。薬剤師以外の医療職の方や、医療従事者ではない方からもご応募がありました。
僕自身が実際にどれくらい対応できるのかが未知数なので、ひとまず1~2か月試させていただく中でモニターの方にフィードバックを頂こうと思っています。その結果次第で本格的に走り出そうと思っています。本業外の時間もより楽しくなりそうです!
―本業の薬剤師とあわせた、今後のヒロザルさんの働き方のイメージや目標についてお聞かせください。
もちろん薬剤師は今後も続けます。SNSコンサルティングもそうですが、ほかにもやりたいことがあるので同時並行してやっていきたいと考えています。
一つは、先ほどもお話したようなほかの医療従事者とのオンライン勉強会を開催することです。例えば、先日は糖尿病内科医の方に、使っている薬についての勉強会を薬剤師向けに依頼しました。せっかくSNSでつながりができたので、それを活用して医療従事者の知識向上や業務に役立つ機会を作っていきたいと思います。
もう一つは、フォロワーの薬剤師さんと薬局や病院をつなげるキャリアコンサルタントのような仕事を九州でしたいと思っています。直接DMで職場環境のお悩みや転職に関する相談がしたいとご希望を頂くことも多いので、その方たちと直接じっくりとお話をして薬剤師を求めているところへつなげたいです。まずは僕自身が九州の薬局や病院、企業とコネクションを築いたうえでできるようになりたいと思っています。
―ゆくゆくは九州エリアの地域医療の活性にもつながっていきそうですね! ありがとうございました。