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成功者に聞く 薬剤師の独立開業って?

第15回 會田 将人さん(株式会社ミカンファルマ)

【プロフィール】
大学院修了後、製薬メーカーを2社経験。
その後薬剤師を目指すため薬学部のある大学に入学し薬剤師免許を取得。総合病
院を約1年、調剤薬局を約3年経験し独立。
2023年2月開局。

【POINT】
・ 製薬メーカーで勤務後、医薬品への興味が強まり再度大学へ入学し薬剤師を目指す。
・ 患者様が利用しやすいように、営業時間の延長、外観・内装を温かみのある雰囲気に。
・ みかんのように親しみやすく、地域に信頼される薬局を目指して。

―薬剤師を目指した理由について教えてください。

理学系大学院を修了後、製薬メーカーの品質保証部門で勤務していました。当時、 「薬学的な知識」がなくても業務上問題はなかったのですが、携わる上でやはり薬のことをしっかり知っておきたいと思いました。

医薬品とは何かに強い興味が生まれ、5年間製薬企業に勤めた後、再度大学へ入学し薬剤師を目指しました。

 

― 薬剤師として働く中で独立したいと思ったきっかけはありますか。

独立前は、地域に根差した調剤薬局の管理薬剤師として働いていました。とても雰囲気の良い会社で、比較的自由に仕事をすることができました。

努力に応じて処方せん枚数が増えていきましたが、業務量・疲労が蓄積したときに、自分で業務量を決めてしまうようになりました。「今捻りだしている努力はどこに向かうのか?」と葛藤しながら仕事に向き合うようになり、「努力が自分の会社に向かうのであれば、全力で患者様に向き合える」と理解し、独立を決心しました。

 

―独立を決心してからどのように情報収集しましたか。

まずは、独立に関する漠然とした疑問を情報サイトやYouTubeなどで調べました。その中で、薬学生のときに登録していた就職サイトを運用していたユニヴさんで独立支援もしていると知り、担当者にコンタクトをとり面談していただきました。

独立に関するスケジュール等について親切に教えていただき、その後案件をご提案いただきました。独立すると決めてから開局までの期間は約7ヶ月で、譲受が確定となってから開局までは約4か月でした。

 

―ご提案された案件に決めた理由はありますか。

独立するうえで
最悪の場合を想定し、自分一人だけで運営できる規模の店舗かどうか
現状が赤字店舗でも、運営方法を変えれば黒字転換できる見込みがあるか
門前医療機関の経営状況(ドクターの年齢等)から、今後どのくらいの期間運営できる見込みがあるか


という3点を重視しました。また、町の薬局を作りたいという思いがあり、お店の雰囲気も希望と一致していたのでここに決めました。

 

― 独立して良かったこと苦労していることがあれば教えてください。

良かった点は、患者様に最善と思える対応を実践でき、全力で向き合えることです。

会社で雇用されているときは、会社のルールや従業員同士の気遣いから自分が行うべきと思う業務に制限をかけていました。


苦労している点は、1人薬剤師のため問題に対して自分で考え・対処するしかないことです。

しかしそれがやりがいでもあると感じています。また、正社員はいないため、休みの確保が難しく、どうしても出勤できない場合には臨時閉局の対応となってしまうことです。

 

―新たに始めた取り組みなどがあれば教えてください。

営業時間の延長を行いました。今までは門前の医療機関の診療時間にあわせて営業を行っていましたが、曜日によって閉局時間が変わると患者様としてはわかりにくいと感じ、営業時間を統一して地域の方々にとってより利用しやすくしました。


また、席数を増やしたり店内ポップを作ったり季節に応じた「薬局の衣替え」を始めたりしました。温かみのある外観・内装にすることを意識しています。

 

 

― 新しい取り組みを始め患者さんの来客は増えましたか。

譲受したときの処方せん応需枚数は月500枚前後でした。現在は月600枚ぐらいになりました。

譲渡前1年間と開局後1年間の比較では、処方せん枚数は9.0%増え、更に2年目前期は、1年目前期と比べ14.2%増加していて……まだまだ伸びている途中です。

 

 

― 会社名(株式会社ミカンファルマ)の由来について教えていただけますか。

日本語の「みかん」と英語の「pharmacy」を合わせた造語です。
日本人にとって、家にみかんがあるのは、馴染み深い光景と思います。そのため、みかんにまつわる思い出もあるのではないのでしょうか。
正月に食べすぎたり、給食でジャンケンして手に入れたり、旅行先の駅で冷凍を買ったけど食べ時を見失ったり……(笑)。
 
美味しくて手頃な価格、健康に良いとされているみかんは今も昔も身近にある存在だと思います。
私はこれからも医療人として、患者様にとって身近な存在であり続けたいと考え、会社に「みかん」の名前を付けました。
少しダサいネーミングが我ながら気に入っています。
 

― どんな薬剤師になりたいですか。

「その地域で信頼される薬局薬剤師」を目指しています。
患者様・ご家族様だけでなく、応需先の医師・スタッフさん、取引先や地域の方々が信頼する薬局の薬剤師を目指しています。
 
言葉はシンプルですが、信頼は積み重ねなので長い期間がかかります。もしかすると達成を実感できるときは引退間近かも知れないですね。
 
 

― 今後どんな薬局にしていきたいですか。

「良い記憶に残るような薬局」にしたいです。例えば、小学校のときに家族で行った味が忘れられない洋食屋、店先の看板が定期的にイラストを変えていて通るのが楽しかったパン屋、強面だけど声が高い名物店主がいたおもちゃ屋など。私の記憶に残っている店は、ほとんどが人間味のある個人店です。
 
工夫次第で、人の記憶に残るような色やインパクトを残せるのが個人店の強みだと思っています。
 

― これから独立を目指す方へ一言お願いします。

独立後の1年間はやりたいことよりも、やるべきことに全集中する日々でした。外注できる部分は外注していますが、独立前は縁遠かった経理・労務・清掃等の業務に休日を費やすことも少なくありません。
 
これから独立を目指す方は、管理薬剤師の業務だけでなく、会社を支えるバックヤードについても興味を持ち、会社全体のシステムを理解しておくと良いと思います。

 
 
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