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薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ

第29回「脂質異常症の治療④ 不飽和脂肪酸ほか」

これまでガイドラインの確認から始まり、スタチン系やフィブラート系、エゼチミブとまとめてきた脂質異常症の治療。今回は不飽和脂肪酸などその他の薬についてまとめます。

n-3系多価不飽和脂肪酸

トリグリセライドが高い脂質異常症に使用され、トリグリセライド低下作用だけでなく、HDLコレステロールの上昇作用も僅かにあります。スタチンにEPAを追加投与することで、スタチン単独投与時よりも有意に冠動脈イベントを抑制することが報告されています。また、EPAとDHAには脂質異常改善の他にも抗血小板作用や抗炎症作用があります。特徴としては、魚の油が主成分であり吸収に胆汁酸が必要となるため、食直後での服用となり、また噛むと魚の油の成分が出てきて臭くなってしまうことが挙げられます。

 

  • イコサペント酸エチル(先発:エパデール)

 

EPAのみを含有している薬です。高脂血症だけでなく、閉塞性動脈硬化症に伴う症状にも適応があります。これまで1日に2、3回服用しなければなりませんでしたが、2022年9月に1日1回の服用で済む「エパデールEMカプセル2g」が発売され始めました。

イコサペント酸エチルは1日1.8〜2gの服用でトリグリセライドを10%前後低下させることが期待されます。また、イコサペント酸エチルを1包に600mg含有している「エパデールT」という第一類医薬品も市販されています。健康診断等で指摘された正常値よりもやや高めの中性脂肪値の改善を目的としています。

 

  • オメガー3脂肪酸エチル(先発:ロトリガ)

 

1包中にEPA約930mgとDHA約750mgを含有している薬で、高脂血症に使用されます。基本的に1日1回でよく、トリグリセライド値によっては1日2回に増やすことも可能です。

先程のイコサペント酸と比較した効果は、オメガ−3脂肪酸エチル2g分1とイコサペント酸エチル1.8mg分3が同等のトリグリセライド低下作用と言われています。

 

陰イオン交換樹脂

LDLコレステロールが高い脂質異常症で、スタチン系で副作用歴があったり、妊娠中であったりした場合に第一選択となります。注意点としては、スタチン・ジギタリス・ワルファリン・チアジド系利尿薬・甲状腺製剤・エゼチミブなどを吸着してしまうため、服用間隔を空ける必要があります。具体的には陰イオン交換樹脂服用の1時間前もしくは4〜6時間以上後にすることが望ましいです。

また、脂溶性ビタミンや葉酸の吸収も阻害されるため、長期間服用する場合はこれらの補給も考慮されます。

 

  • コレスチミド(先発:コレバイン)

錠剤と顆粒があります。服薬指導の際に注意しなければならないのが、必ず常温の水または冷水で速やかに服用しなければならない点です。お湯や温かいお茶などで服用したり、長く口に留めていると膨らんできて服用しにくくなってしまいます。

 

  • コレスチラミン(商品名:クエストラン粉末)

高コレステロール血症だけでなく、レフルノミドの活性代謝物の体内からの除去にも使用されます(今回は脂質異常症に焦点を当てているので、こちらについては割愛させてもらいました)。成分量として1回4g、つまり製剤量としては1回に9gもの量を服用しなければならないので患者さんとしては服用するのが大変かもしれません。

 

プロブコール(先発:シンレスタール、ロレルコ)

LDLコレステロールが高い脂質異常症に使用されます。また、黄色腫に対する退縮効果を期待して使用する場合もあります。LDLコレステロールだけでなくHDLコレステロールも低下させてしまうこともありますが、総コレステロールとして15%ほど低下させることができます。一方で、トリグリセライドへの効果には個人差が大きいです。

 

4回に渡ってまとめた脂質異常症の治療に使われる薬も以上です。

全ての薬を網羅できているわけではないので、他の薬についても確認しておきたいですね。薬もいろいろありますが、基本的な食事や運動などの生活習慣が大事なので、そのあたりのアドバイスも添えた服薬指導を心がけたいです。

 

【参考】

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版(一般社団法人日本動脈硬化学会)

・各添付文書

・堀 正二、菅野 健太郎、門脇 孝、乾 賢一、林 昌洋編集『治療薬ハンドブック2023』(じほう、2023年1月)

・石井伊都子監修『薬剤師のためのナレッジベース』(じほう、2020年5月)