薬学×付箋ノートBOOK著者 くるみぱんの薬学ノートと日常メモ |
第30回「よく使われるうがい薬の違い」
病院で処方されるうがい薬にはいくつか種類がありますが、その中でもよく使用されるポビドンヨード(イソジンガーグル液)とアズレンスルホン酸ナトリウム(アズノールうがい液等)について、それぞれどのような特徴があるのかまとめました。
ポビドンヨード
黒褐色をしていて殺菌消毒を目的に使用されるうがい薬です。口から喉にかけてのさまざまな炎症のほか、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防や口腔内の消毒に用いられます。
- 使用方法
容器の側面を押して、2〜4mL(1〜2目盛)をコップに入れます。そこに水を約60mL(コップ1/3程度)入れて15〜30倍に薄めてうがいします。1日数回、作り置きせず毎回希釈しましょう。薄すぎても濃すぎても十分に効果を発揮することができないので、適切に希釈するよう服薬指導が必要です。
- 広い抗微生物スペクトル
ポビドンヨードは細菌にもウイルスにも効果を示します。そのため、風邪の初期など口腔内や咽頭部にウイルスや細菌が付着しているようなときに処方されることがあります。
- 抜歯後
抜歯後の穴を埋めるために血餅が形成されている時期は、あまりに激しくうがいすると血餅形成が阻害されてしまうことがあります。
- 使用回数
イソジンガーグル液は1本が30mLです。1回が2〜4mLなので1本でおよそ10回使用できる計算になります。
- 使用期間
抗菌作用があることから、漫然と使用することは菌交代現象の原因になってしまいます。使用は症状があるときのみに留めたほうが良いとされています。
- 禁忌や慎重投与
ヨウ素にアレルギーのある方には禁忌です。また、血中ヨウ素の調節ができず甲状腺ホルモン関連物質に影響する恐れがあることから、甲状腺機能に異常のある方には慎重投与です。
- OTC
ポビドンヨードを主成分としている市販薬はたくさんあります。例えば、「イソジン®︎うがい薬」は医療用と同じく1mL中にポビドンヨードを70mg含有しています。
アズレンスルホン酸ナトリウム
濃青色をしていて炎症を抑えるうがい薬です。扁桃炎、歯肉炎や舌炎などの炎症や口腔創傷に使用されます。
- 使用方法
薬液が出てくる部分をしっかりと下に傾けて先端を押すと薬が出てきます。容器を横から押しても薬は出てこないので、使用方法の確認が重要です。1回4〜6mg(1回押し切り分、または5〜7滴)をコップに入れたら、水または微温湯を100mL入れて希釈します。1回押し切りがわかりやすいですね。イソジンと同じく、1日数回作り置きせず毎回希釈しましょう。
- 抗炎症作用
アズレンスルホン酸ナトリウムには炎症を抑え、患部の治りを早めることが期待されます。風邪が長引いて喉の炎症がなかなか治らないときなどに使用されます。
- 使用回数
1本5mLの製剤と10mLの製剤があります。5mL 1本でおよそ30回使用可能です。
- 誤飲
希釈後うがいしているときに誤って飲み込んでしまったとしても、緊急性は低いです。症状がなければ心配する必要はありませんが、何か症状が出た場合は受診しましょう。
- OTC
アズレンスルホン酸ナトリウムを含有している市販のうがい薬もたくさんあります。医療用は1mL中にアズレンを40mg含有しており濃度は4%ですが、市販薬は100mL中に0.5g含有のものが主で濃度は0.5%と医療用の1/8です。また、アズレン以外に抗菌成分を配合しているものもあります。
たかがうがい薬と思わず、適切に使用してもらえるよう使い方をきちんと指導したいですね。
【参考】
・イソジンガーグル液7%、アズノールうがい液4% 各添付文書
・アズノール®うがい液4%のよくあるご質問(日本新薬)